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2002年12月19日(木) マニアには堪らない人間ドック

朝から人間ドックを受けるため、六本木に向かう。
昨日は深夜まで飲んでいた。
血中にはまだまだアルコールが残っている。
まずいなあ。
前日の夜10時以降は水すら飲んじゃいけないのに、ついつい深夜まで飲んでしまった。

人間ドックを受けるたび、マゾヒスティックな人には堪らないんだろうな、と思う。
特にマニアには堪らないのは「胃のレントゲン」。
バリウムを飲んで、機械に乗せられぶんぶん振り回される例のやつである。
「胃のレントゲン」はマニア向けの要素満載。

どんなに健康な人が着ても病人に見える浴衣を着せられ、造影効果をあげるという筋肉注射を受ける。
薬が効いてくると、身体の動きが悪くなり、近くのモノも良く見えなくなる。
次に機械に乗せられ、発泡剤を飲まされる。
ここから先は自分は奴隷として、別室からのマイクを通して伝えられる指示に従わなければならない。

「ハイ、発泡剤のカップを右手に持って、左手は腰」
「顔をうえに上げて、発泡剤を半分だけ口に含む」
「顔をそのまま右」
「残りを全部口に含んで、一気に飲み込む」
「次はバリウム。口に含めるだけ含む」
「そのまま顔を右。左手は腰のまま」
「ハイ、カップのバリウムを一気に飲み込む」

ぐいーーん、僕を載せた機械が動きはじめる。
逆さ釣り。
「仰向けから、右回転。ぐるぐる回って。ハイ、ストップ。30度左に」
ぐいーん、機械はぶんぶん回転する。
僕は振り落とされないように機械につかまりながら、指令に従う。
「ハイ、次は左回転。ストップ。そのまま。斜め45度の姿勢を崩さない」
ああ、機械から落ちそうです。
恐ろしいスピードで次々に指示が出る。
その間、僕を載せた機械はあちこちの方向にぶんぶん回る。
ある意味、絶叫マシン。

お腹の中でバリウムが膨張してくる。
胃がパンパン。
発泡剤も飲まされているので、ゲップが出そう。
苦しい状態で、機械はぐるんぐるんと回転し、ハイスピードで指示が出る。
気の弱い人だったらパニックだろう。

今度は、ういーんと機械から腕が出てきて、胃を押さえつけられる。
機械で胃の周りをぐりぐり。
うげうげっ。
「ゲップは我慢して」

更にぶんぶん振り回され、いろんな格好をさせられる。
数分間、拷問プレイは続く。
「大丈夫でしたか?」
「は・・何とか」

拷問プレイの終了後、下剤を渡される。
胃の中のバリウムが重い。
お腹のなかに錘を隙なくギッシリと詰め込んだような感じ。
コンサル用語でいうところの「MECE(Mutually Exclusive collectively Exhaustive)」という言葉はこのためにあるような気がする。
漏れなく胃のなかにバリウムが詰まっている。

胃のレントゲンってマニアの人なら恍惚の表情になるのかな?




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