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2002年12月11日(水) グローバル一物一価による日本のデフレ

製造業の中国シフトが進んでいる。
製造なんてもはやどこでやってもそれほど変わらないので、製造コストが安い国で作ったほうがいいに決まっている。
中国の製造現場の人件費は日本の30分の1ともいう。
たとえ日本企業の製造技術が中国企業の10倍進んでいたとしても、人件費が30分の1だったら差し引き、3倍は中国のほうが安く作れることになってしまう。
運送費等にお金がかかったとしても、たいていのモノは中国で作ったほうが安く作れるだろう。
中国製品のクオリティーだってもはや何の問題もない。
これでは日本は太刀打ちできない。

中国人に日本人が対抗可能な方法はただ一つ。
日本人の人件費を一挙に引き下げること。
日本企業の製造現場がいくら効率化を進めようと、中国の人海戦術には勝てない。
だったら、日本人の人件費を下げるしかない。
運送費や日本の製造現場の効率性を割り引いたとしても、現状の3分の1くらいにならなければどうしようもない。
もちろん、中国人の人件費は今後、高騰していくはずだけれど、そうすれば更に他の発展途上国が出てくる可能性だってある。

経済のグローバル化とは世界的な「一物一価」が進展することでもある。
最終的には世界中の全てのモノ・サービスの価格が同一になってしまうのだ。
買い物の際、インターネットで商品の最安値を確認してから、出かけることはごく当たり前の事になった。
これからは世界的規模で全てのモノ・サービスが最低価格に収斂する可能性がある。
デフレだって同じことだ。
日本の現在のデフレは言い換えれば、今まで極端に高かった日本の物価が世界的な「一物一価」の流れに沿っているだけ、ともいえる。

労働賃金も例外ではない。
日本人の賃金も中国とマトモに勝負をせざるを得ない分野においては、いずれは中国人の賃金と同一にならざるを得ない。

現在の中国シフトは製造業の分野でしかないけれど、今後は工場以外の業務の中国シフトが進展することになる。
インターネット、ブロードバンドの進展は国境や距離を限りなくゼロにする。
ホワイトカラーの仕事だって中国に十分移転可能になる。
システム開発の中国シフトは既に始まっている。
これからは企業の経理業務や人事といったバックオフィスやコールセンターも中国にシフトしていく。
中国には日本語の読み書きに不自由しない人材も増加している。
多くのホワイトカラーも中国人の人件費と直接コストを比較されるようになるのだ。
ホワイトカラーの人件費も、今後は大きく下がっていく可能性がある。

ただ、日本人全員の賃金が下がるわけではない。
他に代わりのいない「頭脳労働者」の賃金は逆に高騰していく。
高付加価値労働者の賃金は今後、高騰していく。
日本社会は高額所得者から低額所得者に富の再分配を行なう「社会主義体制」にあるのだけれど、今後、旧ソビエト、東欧と同じく社会主義体制は崩壊に向かう。
富の再分配は行なわれなくなり、収入はそれぞれの人の生み出す付加価値に合致したものとなる。
稼ぐ人、稼がない人のギャップはどんどん広がる。
貧富の差は広がっていくだろう。
一方は年収1億円、もう一方は年収100万円。
日本人の大半は年収100万円に近づくだろう。
付加価値のない職業に就く人は年収100万円となる時代がすぐそこにやってくきている。
日本のデフレはまだまだ止まらない。

とりあず僕は年収100万円時代の到来に向けて、今年のボーナスは貯金に回すことにする。




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