セピア色の思ひ出
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池袋のサンシャインシティーのプラネタリウムが
今月一日を持って閉館した。
25年の歴史だったそう。
私は宇宙について学ぶことが大好きで、
大学では、天文学か宇宙物理学を専攻するのが高校時代の夢だった。
でも、プラネタリウムには幼い頃に数回しか行った記憶がなく、
そして偶然先月、ネットでサンシャインのプラネタリウムが閉まると知る。
もうすぐなくなってしまうからこそ見てみたい、という人間の心理的作用と、
元々星好きであったことが混合して 無性に行きたくなった。
そして先月末、彼と足を運ぶ。
新宿、渋谷、原宿はよく行くけれど、なんと池袋は上京して四年目だというのに
行くのは初めてで。
何故か最近上京したばかりの彼に連れられ、サンシャインに向かう。
平日の昼過ぎ。
隣の水族館は修学旅行の中学生や、幼稚園の園児達で賑わいでいたけれど、
プラネタリウムはなんだかヒッソリ静かだった。
座席は半数ほど うまっていただろうか。
年齢層は様々。
一人で来ている中年男性もいたし、
孫を連れてきているご老人もいた。
私と同じ世代の人もちらほら。
プラネタリウムの番組自体はとても美しく、構成もしっかりしていて。
番組のナレーションにも、ナウシカなどの声優で知られる島本須美さんが
起用されているなど、しっとりとした癒しの雰囲気。
でもこの日の私にはプラネタリウムの内容よりも、その場内を包み込んでいる
寂しげな雰囲気がとても印象的だった。
上映前、プラネタリウムを操る映像技師さん?が場内で上映中のお願いや、
非常口の案内、そしてプラネタリウムの簡単な説明をアナウンス。
そして最後に一言、六月一日をもって閉館する旨を伝える。
この瞬間、またある種の寂しさが私の胸をよぎる。
入り口でもらったチラシをみても、閉館を告げる一文が、隅に書いてある。
この二十五年間、ここには一体何人の人たちが訪れ、
都会では絶対に見ることの出来ない、美しい星空を仰いでいったのだろう。
そしてプラネタリウムに配属されて働いてきた人たちはどんな思いでここを離れ
るんだろう。
自分がここを訪れたのは初めてで、
その存在を知ったことすら つい最近のことだったのに
なんだか色々妄想?してしまった。
存続を願う人は多いに違いない。
豊島区の人々も、プラネタリウム閉鎖に対する署名運動などを行なっていた。
でも一度決定されたことを覆すのは難しかったらしく、
悲しいことに現にもう閉鎖されてしまった。
プラネタリウムに限らず、
それまで身の回りに存在していたモノや景観がなくなってしまうはことに
人間は悲しみや寂しさや抵抗を覚える。
でも時代が回る限り、そういった変化はどうしようもないことで。
そしてやがては、ソノモノがあったこと自体、人々は普段の生活の中で
考えなくなり、思い出として心の中へ蓄積される。
例え二度と戻っては来ないものだとしても、いつかは寂しさから脱却する。
人間はそういう生き物だ。
私も類にもれず、そうなんだ。きっと。うん。
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