今日は久しぶりに合同練習があって。 いつもあたしたちが練習してるグランドに。他大学のチームが来た。 相手チームが普段やってる練習メニューを教えてもらったから。 まったりしがちな練習にカンフル剤が入った感じで。なかなか楽しかった。
でも最後にやった試合は。かーなり疲れまくった。 あたしにとっては久しぶりの試合やったから。とにかく体力がもたんかった。 それでなくてもあたしのポジションはよく走らなあかんとこなのね。 前半の途中からバテバテになって。コート内で軽くえづいたし(涙)。 幸いなことに足の痛みはそこまでじゃなかったけど。 途中で限界になって。ベンチにおったまひろを呼んだもん(涙)。 まひろも交代でひっこんだばっかりやったのに。あぁ・・・最低。
とりあえず当面のあたしの目標は。 1.体力強化 2.右足完治 これに尽きるなぁって思った。・・・がんばろ。
体調万全じゃなかったそうるも。試合ではめずらしく交代とかもしてた。 それでも。目を奪われるような鮮やかなプレーは健在で。 試合後には。相手チームからも名指しで褒められたりしてた。 困ったように照れ笑いしてるそうるを横目で見ながら。 あぁ・・・やっぱりあたしの色眼鏡だけじゃないんやな。 そうるのプレーのすごさは。他チームの人も認めるほどなんやな。 そう思って。あたしは単純に誇らしかった。
愛しい人の勇姿は。やっぱりあたしの胸を熱くする。 試合中にバテバテになってるときでも。走ってるそうるの姿が見えると。 あーあかん。気持ちで自分に負けてる。がんばらにゃ。 そう思って。あたしはまた走り出すことが出来るんよね。 なんて単純なんやろって自分でも思うんやけど。 そうるがあたしの精神的支えなのは今に始まったことじゃないし。 でもそんな支えがあるってことは幸せなことやんね。 ・・・あぁ。おめでたい体質やなぁ(苦笑)。
試合後に相手大学が帰ってから。新3回生がミーティングをしてたから。 「4回生ミーティングでもやるか?」なんてそうるが提案した。 「議題は何ですのん?」ってまひろが言ったら。 「これからのうちらのとるべき立場について。」ってそうるは言った。 なんとなくその声は真剣で。あたしは思わず着替える手を止めた。
そうるいわく。今のチームがだらけてるのが気になるんやって。 誰が、とかってわけじゃないんやけど。チームカラーとしてなんとなく。 それはあたしも前々から思ってたことなんやけど。 一応引退したあたしたち4回生が口出しするのもどうかと思って。 あんまりうるさいことは言わんと見てるカタチをとってる。
そのチームをがんばってひっぱろうとしてる現キャプテンに対して。 同学年があんまりサポートできてへん感じなんよね。 チームなんてキャプテン一人ががんばれば成り立つってもんじゃない。 支えるメンバーがちゃんとしててこそ。下の学年をひっぱれるってもの。 そーゆうのを。去年キャプテンやったそうるはほんまに分かるみたいで。 現キャプテンの心労とかも。自分のことのように痛いらしかった。
「でもな。うちらが言うべきじゃないとも思うんよなぁ。」 「学年内で気づかな意味ない気もするしなぁ。」 「どこまで突っ込んでいってええんやろ。」 いつになくそうるは多弁で。自分の考えとかをいっぱい言ってた。
あたしはそうるの話を聞きながら。いろんなことを思い出した。 キャプテンになりたてのそうるが。一人で背負いすぎて疲れてたこと。 そのうちに。自分一人が我慢すればなんとかなるやろうって感じで。 嫌われ役すらも買って出て。諦めたように寂しく笑ってたこと。
そしてそれに対して。あたしがそうるを怒ったこと。
そうるは覚えてるんやろうか。あれは去年の春。 ちょうど今ぐらいの時期やったかもしれん。 「キャプテンなんて基本的に敵だらけやろ。」 「もうええねん。なんか投げやり。どうでもいい。」 数人のメンバーと意見対立して。そうるが自暴自棄になってたとき。 あたしはどうしようもなく悲しくなって。やんわりと言い返した。
そんなふうに言わんといて。どうでもええなんて言わんといて。 好きなことを「どうでもいい」なんて言って投げ出したらあかんって。 それに我慢することばっかり考えてたらあんたがもたへん。 解決することを考えて。そうでなきゃ心から楽しむことなんかできん。 あたしはあんたが楽しめんサークルなんかでは楽しめん。 円滑に動いてても。無理してるあんたがおるサークルなんか欲しくない。 あたしは絶対にあんたの味方やから。もっと前向きに考えようよ。
うるさいこと言ってるかなーと思ったけど。言い始めたら止まらんかった。 自分の中で気持ちが高ぶってもて。語気も荒くなってた気もする。 「余計なお世話かもしれんけど・・・ごめん。」って最後に言ったら。 そうるは首を横に振って。泣きながら言った。 めったに泣かんそうるが。涙を見せながら言ってくれた言葉を。 あたしは。この先も忘れへんと思う。
余計なお世話だなんて絶対に思わへん。ありがとう。 たぶんこんなこと言ってくれるのはあんたぐらいやと思う。 あんたがおってくれてよかった。マジで救われた。
その言葉は。あたしの心の中の1番奥に届いた。 透明でやわらかくて。あったかい場所を締め付けた。 自分の存在が愛する人を癒せた。自分の存在が愛する人を救えた。 たとえ一時でも。たとえほんのちょっとでも。 苦しみを取り除いてあげることができた。
その事実は。何よりあたしを幸せにした。
ねぇそうる。あんたは忘れてるかもしれんけど。 あたしは。あのときを絶対に忘れられんのよね。 最愛の人に。世界で1番強い愛情を注いでる相手に。 自分の存在を無条件で認めてもらえたことが。嬉しすぎた。 「あんたがおってくれてよかった。」その言葉は。 あまりにもストレートで。痛いくらいやった。
あんたのそばで生きてていいって言われたような気がした。 何もないあたしやけど。怖がりで泣き虫なあたしやけど。 支えられるばっかりじゃなくて。支えることもできたんや。 そう思ったら。ほんまにほんまに嬉しかったんよ。
でもそう言えば。あたしはそんな発言したことないなぁ。 そうる。あんたがおってくれてよかったって思うことはしょっちゅうやけど。 たぶんあんたより。思ってる回数は余裕で多いと思うけど(苦笑)。 なんでやろう。ちゃんと伝えたことはない気がする。
そういう意味で。いざってときに決めゼリフをしっかり言えるのは。 そうる。普段甘い言葉とは無縁のあんたの方かもね。
そして。そーゆうのがまた悔しいんよなぁ(苦笑)。
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