考えないようにしよう。 今日1日心を殺してしまおう。 今朝目覚めた時からあたしは思ってた。
夜が来る前に寝てしまえばいい。 辛い時間は眠って過ごせばいい。 あたしにだけ優しいそうるの夢を見よう。 それでいい。それで十分。
・・・今日はそうるは彼とデート。 前みんなで花火に行った時にそうるが言ってた。 今度彼と一緒に花火を見に行くって。 あたしの前で彼の話をした。無神経なそうる。 ルール違反はまだ許せないけど。 そんなことはもう関係なくて。 そうるが彼と一緒に花火を見に行く。 その事実だけがあたしには辛かった。
ルール違反は1回や2回のことじゃない。 だからあたしはけっこう彼の情報を持ってる。 そうるは嬉しそうにペラペラ話すんだもん。 そこにあたしがいることすら忘れて。
会ったこともないけど。あたしがイメージする彼は。 けっこう女っぽい人。・・・だと思う。 前のドライブの話を聞いたけど。 車を運転したのがそうるで、お弁当を作ってきたのが彼。 「・・・普通逆やん!!(笑)」ってみんなにつっこまれて、 「でもラクやからええねん。」って笑ってたそうる。 あたしはまたまた複雑な気持ちになってた。
正直ちょっとホッとした。 だって。もしも彼がものすごく男っぽい人だったら。 その人の前でそうるがものすごく女っぽくなってたら。 そんなの想像するだけであたしはイヤだから。 でも。正直辛い気持ちの方が強いかもしれない。 だってその彼は、あたしとすごく似てる気がするから。 そうるに甘えてる感じも。そうるに頼ってる感じも。 そしてそんな彼にそうるは時々甘えるんだろう。 あたしに時々そうするように。
そうるは彼と並んでどんな花火を見たんだろう。 どんな話をしたんだろう。 その記憶は。その時感じたことは。 どんなふうにそうるの中に残るんだろう。 考えてあたしはまた頭を掻き毟る。 ぐちゃぐちゃ。苦しい。痛い。・・・助けて。
ねぇそうる。あたしは。 こんなものを望んでたわけじゃないんよ。 こんなにも嫉妬して。こんなにも狂いそうになって。 怖くて。焦って。泣きそうになって。取り乱して。 そんな自分になりたかったわけじゃないんよ。
でもあんたと一緒にいると。 あたしはそんなものばかり手にしてしまう。 醜い感情とか。情けない自分とか。 あたしはそんなものがほしかったわけじゃないのに。
泣かせたくないって言ってくれた。 傷つけたくないって。苦しめたくないって。 信じてる。その気持ちが本物やってこと。 あんたのあたしへの優しさを信じてる。
でもね。そうる。 あたしはこうやって泣いてるんよ。 言わないけど。困らせたくないから。 もう絶対に言わないけど。 あたしはこんなにも傷ついてるんよ。 こんなにも苦しいんよ。
気づかれたくない。重荷になりたくないから。 でも気づいてほしい。分かってほしい。 矛盾する感情の間であたしはまた揺れる。
あたしはどうしたいんだろう。 分からない。分からないよ。
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