佐山葉月の日記
うかうか一年。地味でぽやんとした趣味の毎日。

2011年08月27日(土) 巨匠を拝めました。

本日はヤン・シュヴァンクマイエル大会でした。

新作映画「サヴァイヴィングライフ」の公開初日にヤンの舞台挨拶がある!と知ったのがほんの一週間弱前。もともと昔の会社の社員でマニアック仲間のTさん(二児の父)と一緒に見に行きましょ〜て約束をしていたので、「チャレンジしてみる?」と盛り上がって行く事にしたのです。ヤン76歳、次があるかどうか分からんし。
とりあえずイメージフォーラムで10時半から整理券配布だったので、10時に行ってみたら既にけっこう並んでまして。少しドキドキしましたが、無事に午後の部の整理券を入手しました。100人くらいの小さい会場だからなあ。

そして映画が13:45からでしたので、よしじゃあ、ということでそのままラフォーレ原宿でのヤン・エヴァ展に行ってきました。午前の部が取れたら映画の後に行こうと思ってた。てか、同じルートを辿った人は多いと思う。
展示会は濃くて素晴らしく面白かったです。数年前の葉山美術館、ラフォーレ原宿、と2回展示会は行ってますが(そしてチェコセンターの展示も行った)新作も多くてとても満足。やっぱりすごいなあヤン。エヴァさんも。展示はヤン本人がセッティングしたらしい。
しかし「悦楽共犯者」に出てきた自慰マシーン(マジでそういうもんなの)の展示でモニターでそのシーンの映像が流れておりまして、なので会場内には思いっきり喘ぎ声が響き渡ってて笑けました。
まあヤンの要素のひとつがエログロなんですが。トレモロやロケット、もしくはマッドスカイのPVをすごいエロくキチガイにした感じ。って、二階氏がヤンのファンなんですけど。
販売物もフライヤーも大充実してて、Tさんとうはうはで見まくりました。Tさんはヤンのサイン入り図録を買ってた。私はポストカードを少々。そしてフライヤーの中に「緑子」てアニメのがあって、なんかすごい気になって二人で盛り上がりました。数年前にグロすぎて問題になったディルのPVを作った監督さんらしい。ふはー。

それからご飯して、いよいよ映画&ヤンです。
整理番号は前半だったため、割と真ん中の良い席が取れました。

午後の部はまず映画の前にヤンが出てきて舞台挨拶、という形でした。最前2列はマスコミ席だった。
司会のおっちゃんの合図でヤンがご登場されましたが、とってもにこやかに両手を上げて優しげでした。でもやっぱりオーラがあったよ爺ちゃん。
挨拶は15分ほど、通訳の方を交えて司会のおっちゃんからの質問に答える、という形式張ったインタビューでした。きっと似たようなことを何度も聴かれてるんだろうなーって感じでしたが、とても饒舌でにこやかで、すごいサービス精神だなって思いました。
印象的だったインタビューを書いてみると
・母親というものがクローズアップされてますが、監督の母親というものに対する見解は?
「本来母親の方が絶対的な支配があるものです。父親は本当に父親か分からないし、いなくなってしまうこともあるし」笑ってしまった。
・映画の前に、観客にメッセージを
「困った…実は映画の冒頭で私自身が出てきて映画について語っているので、ここで言ってしまうのは…映画を見て下さい」笑いがもれた。
・かなりのご高齢まで活動されてますが、想像力は尽きないのですか?
「(少し「え?何それ?」みたいな表情で逡巡して)私のライフワークですので、例えば体力がなくなって映画が撮れなくなったら絵を描くとか別の方法になると思いますが、イマジネーションはずっと続きます」
想像力は尽きないの?て質問に、マジで「意味分かんない」みたいな顔をしておられたのが印象的でした。ヤンにとっては当たり前であって、ネタが尽きるってことは有り得ないんだろうなあ。一生現役って、そういう人なんだろうなー…て嘆息した。
最後はマスコミ用の写真撮影があって、ヤン退場。しかしプレスの人の「手を振って下さい」の要求に司会のおっちゃんが「そういうのはちょっと」と拒否してんのに、ご本人は入場の時と同じく両手をひらひらさせてにこやかに去って行かれました。すごい優しげでお茶目でしたよ。あああ素敵だったあ…!(感涙)

映画「サヴァイヴィングライフ」本編もものすごく面白かったです。マジ。最初に出てきたヤンに笑いが起きたのはまあお約束だ(笑)
いつも通りキチガイな世界観なんですけれど、エログロさは控えめだったしストーリーもきっちり収拾されてたし、初心者にもおすすめです。入りやすいと思う。前作まで美術担当だった奥さんのエヴァさんが亡くなってしまったので、随分美術は変わりましたけれど、それはそれで。本質の部分は変わらないし。
Tさんと「良かったですねー」「盛沢山でしたねー」とほくほくで帰りました。Tさんはその後、立川談春の落語の予定が入ってて(笑)すぐに別れましたが。「一日で詰め込みすぎた…今日はヤンだけにしときたかった」と言いつつ。
私はそのままほわほわしながら帰りました。

別れ際のTさんとの会話。
私「ヤン、素敵でしたねー」
Tさん「優しいオーラ出てましたねー」
私「でも明らかに ド 変 態 ですけどね」
Tさん「うん、でも変態なこと隠してないからいいんですよ!」

隠す気もなさそうな御大でした。


マジおすすめですから。


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佐山葉月 [MAIL]