戯言。
2005年05月26日(木)  なんとなく思いついたネタ。

跡宍。

跡部の部屋で過ごす、休日。
いつもの様にソファーに座り、跡部は俺の膝に頭を乗せ本を読む。
そんな跡部を視界の隅に捉えながら、持参した小説を読み進めた。
そんな中、ふと思いつき話し掛ける。

「なあ跡部」
「あぁ?」

本からは目を離さないが、意識はこちらに向けているようだ。
こんなこと聞いたら怒るかもしれないとは思ったが、声をかけてしまった手前矢張り聞いてみることにした。

「俺が死んだらどうする?」

予想外の質問だったのだろう、持っていた本を下げて、見上げてきた。
何を言い出しやがる、とでもいった視線にちょっと怯みそうになったが、その青い目を見て答えを待つ。

「....死ぬ予定でもあるのか?」
「そうじゃねえけど、もしかしたらの話」

怪訝そうな顔をしつつも一旦瞳を閉じ、少し間をおいて一言。

「何もしねぇよ」
「は?」

何もしない?

「そんな時がきたとしたら、俺は何もしねぇ」
「なんで?」

せめて泣くとか、悲しいとか言ってくれても良いのではないか、と少々憮然としていると、面白そうに俺を見やって続ける。

「フン、テメエがおとなしく1人で逝くかよ。どうせ俺様に未練タラタラで逝くに逝けねぇ癖に」

確かに。
腹立たしくはあるが、それ程俺はこの意地の悪い男に惚れている。
絶対言ってはやらないけれど、ていうかバレバレらしい。
死んだ後も俺の意思が残っているのなら、間違いなく跡部の所に留まるだろう。

「だから、」

食べることも、息をすることも何もかも全部止めて。

「そのまま、何もしねぇで一緒に逝ってやるよ」

そう言って、極上の笑みを浮かべた。


*****

オチも何もあったもんじゃねーなおい。
個人的にはこんな跡宍はありえないんだけど、ふと思いついたので。


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