戯言。
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2004年11月09日(火) 跡べー風邪をひく・前編。
具合悪いとこの描写はほとんど全て実体験に基く。
体育の授業云々は除いて、全て荷造り中に体験した辛さだ....
今思い出しただけでも具合悪くなりそうなんだけど!(笑
とりあえず謝っとくよ、ごめんね跡べー。
*****例によって跡宍でござる
どうも昨夜から調子が悪い。
それならそれで早く寝れば良かったのだが、期日の迫った書類があったのでそれを片付け終わったのがほぼ明け方、家を出るまでは殆ど時間が無い。
お陰で碌に睡眠もとらないまま、登校する羽目になった。
きちんと計ってはいないが、かなり熱がありそうだ。
身動きする度に酷く痛む節々が体調の悪さを伝えてくる。
出来る事なら欠席したいのだが、運の悪いことに今日は生徒会主催の部長連絡会がありそれは出来なかった。
生徒会長でありテニス部長でもある自分が不在などという事態はあってはならない。
生徒会の方はどうにかなっても、テニス部には部長の自分しかいない。
こういう時ばかりはテニス部に副部長というポジションが無いのが残念だ、そう思いながら玄関前まで車を回すように指示を出した。
車の中で短い睡眠を取り、部室へ歩く。
跡部以外のレギュラー陣は既に着替えを終えてコートに出ており、室内には誰もいない。
それを確認し、ジャージに着替えることもなくソファーに倒れこんだ。
薬を飲んでからまだ30分も経っていないので、効果は殆ど出ていない。
そのまま数分寝転がり、練習開始ギリギリになってからのろのろと着替えてコートに出た。
ラケットを持ち上げるだけでも関節が痛み、思わず歪みそうになる顔を必死で抑え込む。
すると案の定、ジローが抱きついてきた。
「おはよ〜跡部!ん〜やっぱ跡部あったかい」
「....そりゃ良かったな。練習始めるぞ」
普段ならここでジローを剥がす所だが、倒れない様に気を張るので精一杯だったのでそのままにし、部員たちに指示を出していく。
どうせならこの熱を吸い取ってくれ、などと普段なら思いもしないことを考えつつ、敢えて宍戸には自分と違うメニューを振り分けた。
他の奴なら騙し通すことは容易いが、こいつだけは別だ。
一度触れたら間違いなくバレる。
以前バレた時にはその場で家に送り返され、部活の後見舞いと称して家に立ち寄り延々と説教された。
だから絶対に隠し通さなければならない。
何せ今日はあの時とは違って、自分がいなくてはどうしようもない案件があるのだから。
その一心で、少しでも気を抜けばその場に倒れこみそうになる自分を叱咤しながら、メニューを普段通りこなしていった。
練習も終盤に差し掛かった頃。
「跡部」
「....なんだ?」
突如声をかけてきた宍戸にどきりとしつつ、できるだけ平静を装って話を続けた。
「俺、今日日直だからもう抜けるわ」
「分かった、行っていいぞ」
「おう。....なあ」
「なんだ?」
「....いや、何でもねえ。じゃあな」
最後に少しだけ不審げに見上げてきた視線を平然と見返しつつ、内心ヒヤリとしていた。
だがそのまま何も言わず部室に歩く宍戸に、息をついた。
練習後着替える時にどう誤魔化すか悩んでいただけに、宍戸が日直だったのは都合が良い。
そして宍戸のいない部室で何事も無かったかの如く着替え、教室へ行った。
その後の授業は散々だった。
頭痛は悪化し、ペンを握る手にも力が入らない。
声を出す度に耳鳴りがし、立ち上がると眩暈がする。
授業の声も周囲の音も、全てが耳障りで体中に響く。
目の前が真っ白になることも何度かあったが、根性で耐えた。
更に今日は運が悪いことに体育の授業もあり、散々走らされた。
流石に体育は少々手を抜きはしたが、なんとか午前中を無事乗り切った。
そしてなんとか辿り着いた昼休み。
残るはあと2時間、そう思いながら立ち上がった。
途端に白む視界に耐えながら、体調の悪化を肌で感じた。
熱が上がっている自覚もあるし、節々の痛みも増している。
勿論食欲も無い。
本当なら身動きすらしたくはないが、この場でそんな醜態を晒すわけにはいかないので、水だけ持って部室に逃げ込むべく、教室を出た。
「よう、跡部。今からメシか?」
教室を出た自分を待ち構えていたのは、上辺だけ満面の笑みを湛えた宍戸だった。
*****
怖いねえ、うちの宍戸さんは(笑