デイドリーム ビリーバー
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2003年08月19日(火) 気付いてしまった二つの事実

後日談です。
何のって、もうお忘れかもしれませんが、携帯事件のです。

引っ張ります。
もうこうなったら、引っ張りまくってやります。


一件落着したかのようだったけど、してません。
いや、一度は一件落着していたのです。誤解が解けて、ゲラゲラ笑って
ああ、この人のこと好きだなあって、しみじみ思ったりして。
数日はそんな感じでした。


彼も、私のヤキモチが、相当嬉しかったらしく
二日に一回と約束していた電話が、その倍に。
一日に2〜3通ぐらいだったメールが、その倍に。
並んで歩く時も、最近では手をつなぐぐらいだったのが、妙に体がそうっていうか。
イチャイチャしているわけじゃないけど、
歩いているだけなのに、セックスしてるみたい
って意味不明か。とにかく、つきあいはじめの頃のような感覚で。

そんな日々に浮かれて、ほわんほわんと、幸せに毎日を過ごして
前の彼女からのメールのことも
たいしたことじゃないように思うようになっていました。

だって、今つきあってるのは、私なんだもんって。
これから一緒に生きていくのは、私なんだもんって。

私と彼の仲が、一歩前進したような気すらして。


だけど、そんな、ほわんほわんな毎日にも、やっぱり波はあるじゃないですか。
電話するって言ったのに、電話くれない日があったりして
私が待ちきれなくて電話しても、留守電だったりして。
そういう夜に、ちらつくんです。あの写真が。メールが。
写真は誤解だったんだし、メールも、昨日までは気にもならなかったのに。



そして私、今更ながら、気付いてしまったんです。

あの時、
受信履歴に彼女の名前を見つけたから、思わず、開いて読んでしまったわけだけど。

メールアドレスが変わりましたっていう内容のメールでした。
てことは、新しいアドレスから送られてきたはずです。
受信履歴が、彼女の名前だったってことは

彼女の新しいアドレス
登録しなおしたってことじゃないですか。



彼の携帯に、彼女の名前が残ってることは
実は私、以前から知っていました。

前にも書いたけど、彼は、私にヤキモチを妬かせようと
何度か携帯を見せたことがあるんです。受信履歴とか、アドレス帳とか。

アドレス帳には、むかつくことに、女の人の名前がいっぱいあって
それを、一気にスクロールして、
「こんなにいっぱいあんねんでー」って。
私は、その速いスクロールの中で、彼女の名前を見つけていました。
つきあって半年ぐらいの頃だったかな。

ああ、あるんだ、って思ったけど
「消してよ」って言う気にもなれず。

残してあるのは、多分
彼から連絡するためじゃなくて、
例えば、突然、彼女から連絡がきたときに、それがわかるようになんだと思う。
コールをいったん見送って、落ち着いてから後でかけ直すのは、彼は嫌い。
出るなら、すぐに出たいの。だけど、そこで慌てたくない。

慌てないで、落ち着いて
「やりなおすつもりはない」と
「これからも、連絡を取り合うつもりはない」と
わざわざ口にはしないまでも、そういう雰囲気で話したいのだと思うのです。

そりゃ、私も時々自信がなくなるけど、
でも彼はきっと、私を好きで
ずっと一緒に生きていきたいと思ってくれていて

私と彼女、もしもどちらかを選べと言われたら、私を選ぶと思うんです。
今私とつきあってるから、なんていう、義務とか倫理観からじゃなくて
純粋に、一番失いたくないのは、私だろうと思うんです。

もちろんあくまで“多分”だけど。

彼は、いろんなことに、準備がぬかりない。
だから、彼は、着信の名前をいったん確認してから
彼女の電話に出たいのだと思うのです。
最終的に振られたのは彼の方だし、かなりの確率で電話はこないはずだけど
100%ないとはいえないでしょ。

だから、アドレスを消さなかったのだと思います。
そう思っていました。

だけど、新しいアドレスを登録しなおしたって、どういうこと?
わざわざ登録しなおしたって。



そして、もうひとつ、気付いたことがあるんです。

彼は、私とつきあいだしてから
迷惑メール防止の為に、携帯のアドレスを一度変えました。

なのに、彼女は、今のアドレスにメールを送ってきた。
ていうことは
彼は、私とつきあい始めてから、最低一回は、
彼女に連絡をしているっていうことですよね。

今回の彼女からのもののように、ごく簡単に「アドレスが変わりました」と、
全員に送るように設定した、事務的なメールだったのかもしれません。
彼女からの返信は、なかったのかもしれません。

だけど、彼は確かに連絡をして。
一年後ぐらいに、彼女からまた、メールがきて。

これって一体、何を意味するんでしょう。

なんだか私
彼と彼女の間に、絶対に断ち切れない糸みたいなものを、感じてしまいました。

私と別れたり
私が死んだりしたら
また、彼女とつきあうんじゃないかって。

そんなの、彼女じゃなくたっていやだけど。
彼女なのは、もっといや。
すごく、いや。




彼には、目を見て話したかったし、事前準備もさせたくなかったので
直接会うまでは何も言うまい、と心に決めていたんですが
そういうときに限って、彼に会う予定が、なかなかたたない。

あえない日々のうちに、
今の彼女と前の彼女との三角関係をえがくドラマが始まるし。
登場人物全員の性格が鬱陶しいので、あまり見ていませんが(失礼)。
それでも次回予告が流れるだけで、むかつく。主題歌が流れるのも腹立つ。

7年だかつきあってきた彼が、結婚するつもりがないみたいだからって
他の男の人とデートして、最後には、長いつきあいにピリオドをうつ
女の人がでてくるバラエティなんてやってるし。
私ったら、手に汗握って、「別れろ、別れろ」って念じてた。

いろいろ考えをまとめたくて
決戦のその日まで、私は、雑誌を買いまくっていました。
“男の気持ち”とか“女の生き方”とかそういう特集が組まれている
ああいう雑誌何ていうんだろう、
10代で卒業したはずのa○anも、20歳で卒業したはずのC○SMOPOLITANも
これを買うようになったら終わりだと密かに思っていたS○Yも(失礼)
他にもいっぱい読みましたが
記事が子供っぽすぎて、参考になるものはひとつもなく

衛星か何かで偶然見てしまった映画は、キアヌ主演「雲の○で散歩」。
戦争から帰ってきて、偶然知り合った女性に
「父親のいない子供を身ごもってるなんて、父に言えないから」と頼まれて
彼女の父親の前で、少しの間だけ、子供の父親のふりをすることを承諾した男が
しだいに彼女と惹かれあい
でも自分には妻がいるからと、妻のもとへ帰ってみると、妻は浮気中。
やったとばかりに、彼女の元へ帰る。
前見た時は何とも思わなかった、この映画で、私はおいおい泣きました。
どこでって、妻が浮気中だったところですよ。ああよかったって。
信じられない。前見た時は、確かこのシーンで
「なんちゅーご都合主義!」って、ビデオのケースを投げた気すらするのに。

その次にまた偶然見てしまったのは、「ウェディングプランナー」。
ウェディングプランナーの主人公が、ある男を好きになったと思ったら
なんとその男は、自分の客、つまり、結婚を控えた身だったっていう話で。
主人公は、彼に惹かれながらも、マリッジブルーの花嫁を元気付けたりして。
これでもおいおい泣いた私は、かなりの重症です。

ネットにもかじりつきました。
つくづく自分でも、暗いと思うんだけど
“前の彼女”とか“今の彼女が好き”“長くつきあった”とか
そういう言葉で検索をかけて
今の彼女を大好きな、男の人の文章や
長くつき合った彼と別れて幸せになった、女の人の文章を探したり。

そんなことをしていて、ふっと思い立って、ある言葉で検索をかけてみたんです。
まさか、ヒットすると思わなかった。

彼女の、本名で。

結果、
彼女の写真を見つけてしまいました。
彼女自身のページではない、とある趣味のページで、
彼女はそこの、数ある会員の内の一人というか。
女の執念って感じがして、見つけた瞬間は、正直、自分の行動に
背筋がぞっとしました。

彼女の写真は、以前、彼にも見せてもらったことがあったので、すぐにわかった。
それに、その趣味にうちこんでいたことは、彼から聞いたことがあったし。

掲示板に、3つほど、彼女のコメントを見つけました。
一年分ほど記録が残っている中で、たったの3つ。
それも、コメントの後に、空白の数行があったり
ネットに慣れていない様子がうかがえました。

多分、自分のHPを持ったりはしないタイプの人なんでしょう。

写真の笑顔は、はつらつとした感じだった。
以前、彼に見せてもらった写真では、ただきれいな人としか思わなかったけど
その笑顔の写真と、短い3つのコメント。

いい人だ、と、思いました。
ああ、この人、いい人なんだって。健全な人。



その時、初めて気付いたんです。
私、勝手に、嫌な女を想像してたって。


つきあいはじめた頃に、彼に、私のどこがいいの?ってきいたら

「やさしくてーかわいくてー明るくてー頭よくてー努力家でー
 強くてー、かと思ったら時々弱くてー、すぐ泣いてーでもすぐ笑ってー」

冗談でかわされると思ったのに、にっこにっこしながら、本当に褒めるもんだから
私の方が照れてしまったんだけど
そのほかにも、私としゃべっていて笑った後に
「宙ちゃん、おもろいなー」
「宙ちゃん、かわいいなー」
「宙ちゃん、楽しいなー」
ってすぐ褒めるから(最近減ってきているけど)

私、勝手に想像してたんだ。
前の彼女は、暗くて、ひねくれてて、一緒にいて楽しくない人だったんだって。

だけど、違った。

誰かに返した、彼女のコメントは、私でもうっかり笑ってしまうぐらい
機転が利いていておもしろかった。
もうひとつのコメントは、人に対する思いやりがにじみ出ていた。

彼とのことと関係なく、彼女と知り合っていたら
私、友達になっていたかもしれない。



彼が8年つきあってきた人。
彼から好きになって、告白して、つきあうことになった人。
辛かった時代の彼を、支えた人。
将来のことで意見がわかれ、なんども話し合い、ケンカし、
一度は別れたけどつきあいを再開し、
それでもやっぱりやっていけないって、別れた人。

私思うんだけど、彼女はきっと、つきあってる8年間
彼よりいっぱい我慢してたよ。

いい人じゃん。


たくさんのことに納得がいった。
今まで想像ばかりだったのが
彼女の性格とか表情とかそういうのに、ほんの少しとは言え、触れて
見えてきたことがある。

例えば、彼女は確かに優しくていい人だけど、
これから彼が進もうとしている道を
一緒に歩いていけそうにない人だな、とか。

彼はメールを送ったかもしれない。
彼女からメールがきたってことは、彼女には今つき合っている人がいなくて
彼と連絡をとってもいいかなと思っているのかもしれない。

彼が彼女を選んだら、とっても悲しいけど
だけど、彼は、私を選ぶ。少なくとも今は。


だって
その写真の彼女と、今の彼が、並んで立っているところは
どんなに頑張っても想像できなかった。

逆に、
以前彼に見せてもらった、昔の写真の彼の横に、私を立たせることも
できなかった。あの頃の彼の横に、私は全然似合っていなかった。
それはやっぱり、彼女の場所だったんだ。

自分のことでいっぱいいっぱいだった私に
あの頃の彼を支えることはできなかっただろうし、

彼女とのいろいろを経験していない彼は、今より少し傲慢で
私は好きにならなかったかもしれない。

もっと早くに出会って、一緒に成長したかったとも思うけど。
それはもう叶えられないことで

だけど、出会えない可能性もある中で、出会えたことは、とても幸運なこと。




そうか、私、幸せだったんだ。
ものすごく幸せなんだ。
だからこそ、もやもやする。ヤキモチ妬いたりする。
幸せだからこそのもやもやなんだ。


占いとか苦手な私が、ネットの相性占いをしてみた。
彼と彼女の相性は72%、私との相性は59%。

どうでもいいやって思えた。だって私はこんなに彼が好きで
彼も、同じ気持ちだと言ってくれる。

来週は、久しぶりに、ホテルデートする。
彼はやっぱり2時間ぐらい昼寝してしまうんだろう。
私はそのかたわらで、本を読むか映画を見ながら
時々彼の頭をなでて
少しだけ妄想する。もし結婚して、一緒に住むようになったら
こういう休日を送れるかなって。


彼から電話がかかってきた。
ネットの占いをしちゃったっていったら
またヤキモチ妬いたんかって、おもしろそうに笑ってた。
「宙ちゃんかわいいなあ」って、また言ってもらった。

このこと以上に重要なことがあるんだろうか。

きっと私はこれからも迷い続けるだろうけど
彼を好きな限り、彼も私を好きな限り

きっとずっと、一緒にいるんだ。


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