ヒカリよりも迅く
リュカ



 きえていくものたちに

あたしが桜や花火や煙草に惹かれてしまうのは
どれも永くはとどまっていられないものだからなんだろう
時がくれば潔く散っていくからというよりも
その儚い生命力にこそ憧れてしまうのだろう
咲き誇りそして散っていく桜
夜空を彩りそして融けていく花火
美しさを添えて。
煙草はそれとは全く違うものだけれど
毒でしかないと判っていながら
毒でしかないと判っているからこそ
あたしは手に取るんだろう。
1本点けて吸い込み、煙を吐き出し、そうするうちに
指の先であっというまに灰となっていくから
その生命力をあたしは奪いながら
あたし自身の生命力も灼いていく
1本につき5分。
火を点すごとに5分ずつあたしは死んでいく、それでいいとおもう
ちりちりと燃えていくその火を見ながら
美しいな とおもう
最後にじりっと押し潰すように消す瞬間、その残酷さが
快感にも似た虚無感。
消えていくから美しいんだ
とどまることがすべてじゃないんだ
消えていくからこそ、
輝くものなんだ
そんなふうにおもう、あたしには消えていく勇気がないから
眩しく見えてしまうんだ

2004年07月29日(木)
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