ヒカリよりも迅く
リュカ



 「突きつけられた事実」が「揺るぎない事実」とは限らない





思いながらこっそり呟く
きっとあたしは前より強くなれる








星のない冬の空は凛とした輝きを放ち
水面に浮かぶコトノハの欠片に陰をつくりだす
あたしは頬を切るような風の中に立ち
鼓膜の裏に静寂の音を聴く




はらはらと零れたことばをひとつひとつ掬いあげ
両腕いっぱいに抱えるとゆらりと溶けていく
きらきらとあふれた青い光が照らした闇の先に
ただ立ちすくんで見送るだけのあたしが映る




無色透明のやさしさと穏やかな温度を見つめ
あたしは少しだけ躊躇いながら笑ってみせる
いつか懸命に伸ばしたか細い蔦が
夜の帳と頂の星をふわりと絡めとることを願う








想いながらひっそり呟く
きっとあたしは前より強くなれる
もっと静謐な心とずっとやわらかな笑顔と
本当の意味での強さを憶えてゆっくり歩きだせる




2003年12月03日(水)
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