ミドルエイジのビジネスマン
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花の金曜日、秋葉原に行って新型ウォークマンやノイズ・キャンセリング機能付きヘッドフォンの情報でも仕入れに行こうと思っていたら、何歳か年上の先輩からちょっとした問い合わせの電話があり、話の延長で今夜一杯やろうかということになった。
東京は不思議なところだ。街並みは延々と続き、大きな駅も小さな駅も身の丈に合わせた繁華街を持ち、そのどこにでも異邦人として訪ねることができる。二人で飲んだのは、都心から遠く離れた小さな駅の商店街の、そのまたはずれの、金曜日でもあまり込んでいない焼き鳥屋さんだった。
いつも物静かな先輩は、著名な会社から小さな子会社の上場担当として移り、そのプロジェクトを成し遂げた後も引き続き在籍している。おそらく、定年までそこで働くことになるだろう。お子さんは成人し、家も建て替え、仕事も順調で羨ましいことだというような話が続いた。ゴルフやマージャンも本人から誘う訳ではないのに話がまとまっていくのだという。
こちらも身辺報告などして、もう話題も尽きかけた頃、ふと、最近俳句をやっているという話が出た。別に、どこかに習いに行ってもいないし、団体に所属してもいない。それどころか、新聞の短歌俳句欄にも目を通しておらず、ただ、自分の心の有り様を季節の情景に託しているのだそうだ。だから、別に季語が入っていなくてもいいのだそうだ。最近のベストスリーというのも教えてもらったのだが、了解も得ていないので、代わりに帰る途中に自分で作った句を掲げる。
旅客機の 雲をかすめて 街路灯
飲んだ帰りに住宅地を歩いていると、ゴーッという飛行機のかすかなエンジン音がする。見上げると街路灯の遥か上空を点滅する灯りをつけた旅客機が飛んでいて、清澄な秋の夜空にかかる薄い雲をかすめて遠ざかっていくところだった。飛行機の中には出張に向かうビジネスマンや、海外旅行に胸を躍らせる家族など様々な人たちがいて、ちょうど機内食を食べている頃だろう。それら想像した乗客たちの姿は実は過去や未来の自分の姿でもあるのだ。
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