hana's note...葉那

 

 

犬 - 2003年07月20日(日)

うちで飼っていた犬がもらわれていった。

父が冬に猟をするために飼っていた猟犬。
散歩の時、自分の行きたいほうへ行こうとする犬で、
力も強いため、祖父が毎日散歩をさせるのはきつかったのだ。
また、猟犬として育てられていたため、
キジやヤマドリを見つけると、狙っていく反応をしてしまう。
なので、父と同じように、猟をする人に飼ってもらうことになった。
親戚がつてを使って探してくれたらしい。

父が亡くなった次の日、いつものごとく脱走をし、
祖父とふたりで捕まえに行った。
キジがいて、それを追いに走っていったらしい。

火葬の日、父が入った棺を霊柩車へ運ぶ時、
震えていたといとこから聞いた。

一時は保健所へ、という話も出ていただけに、
貰ってくれる人がいると聞いたときはほっとした。
同時に寂しかった。

家に帰ると名前を呼んだ。
小屋へ行くと、なでろとばかりに網から鼻を突き出してくる。
おりの間から手を入れて撫でていると、
最後には腹を出してくる。
子犬の頃から、腹をなでられるのが大好きな犬。

この日は、最後だからと思って沢山なでた。
他の知っている人がくると、犬は飛び跳ねた。

貰ってくださる方が着いた時、
知らない人が来た、と思って犬はほえた。

祖父が紐をつけて外に出すと、
散歩に連れて行ってもらえると思ったのかはしゃいだ。

いつも車に乗るときに入れていたケージに入れようとすると、
猟に行くと思ったのかすっと入った。

その方の車にケージを乗せると、やけにおとなしくなった。
車のにおいが違うと思ったのか、
別れることを感じ取ったのか。

猟などでよくこちらに来るというその方は、
5ヶ月して猟の時期になったら見せに来ます、とおっしゃって、
犬を連れて行った。

・・・まだ小屋を見るたびに、犬の名前を呼びそうになる自分がいる。


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