ジョージ・エルスの日記...ジョージ・エルス

 

 

トゥドゥン - 2004年01月15日(木)

イスラム教を国教とするこの国マレーシア。当然、
成人女性は自分の頭髪を見せてはいけない。

トゥドゥン。女性イスラム教徒が髪に覆いかぶせ
るスカーフの様な布。

中東など、より保守的な国では黒色が基本だが、
ここマレーシアではピンクやら水色やらゴールド
等、バラエティーに富んでいる。

これを被っている女性をみても、決して抑圧的な
感じがしないのは、きっと服装のコーディネイト
のひとつとして定着しているからに違いない。

それでも最近は開放的になるにつれ、トゥドゥン
を被らないマレー人女性も随分増えているが。



マレー人の部下ムハマドとタイ・バンコックへの
出張。空港のゲート前で搭乗時間を待っていた。

トゥドゥンを被ったマレー人女性が、僕たちの前
に向かい合うようにして座った。

隣の男性と、マレー語で話している。マレー人
夫婦のようだ。

「バンコックに何回も行ってるけど、マレー人
 女性をみかけるのは珍しい。」

そうムハマドに言うと、

「彼女はマレー人ではありません。イスラム教に
 改宗したタイ人女性です。おそらく故郷に帰る
 のでしょう。」

そういえば顔つきがマレー人でなくタイ人のよう
にみえなくもない。しかしマレー人のような顔つ
きのタイ人も実にたくさんいる。
 
なぜ、彼は彼女がマレー人であることを明確に否
定するのだろうか。

「トゥドゥンの被り方、あれは正式な被り方では
 ありません。」

通常、トゥドゥンがきれいに巻かれていると、布
に不自然なしわが一切できず、顔の輪郭がきれ
いな卵型を模っている。

彼女をよく見ると確かにトゥドゥンの不自然なしわ
が目立つ。輪郭もきれいな卵型を模っていない。

ムハマドからすれば、日常感覚的に、その不自然
さが目立ったという事だ。

普段全く意識していなかった事だけに、とりわけ
感心してしまう。


そしてそれは、イスラム教徒のこだわりを垣間見
たようで、宗教の奥深さを肌で感じた瞬間でもあ
った。








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