2004年07月19日(月) 外人に 電話の向こうで 期待され
ささいなことなのに、自分の情けなさに3日くらい立ち直れないことがある。
今日、仕事に行く途中で珍しく携帯が鳴ったので出てみると、大好きな元の会社の先輩(♀)だった。何事かと思えば、「今隣に外人がいて座間キャンプに行きたいって言ってるんだけど、英語が分からないから教えてあげてくれる?」と。そう言っていきなりその外人に電話を代わる先輩。
え゛?
頼もしい相手を見つけたとばかりに「座間キャンプに行きたいんだけど、どうしたらいい?」と英語でまくし立てる外人の声。
てか、座間キャンプってどこですか?
焦る私。毛穴という毛穴が開く。汗が吹き出る。
「えーと、えーと、えーと、誰か迎えにきてくれる人はいないの?」
と言うのが精一杯。
ノーと一言言って黙る外人。私の助けを待っている。
頭がまっちろちろになる私。
結局、先輩に代わってもらって、「お役に立てませんでした」と放棄してしまった。その後先輩からメールが来て、その外人はパトカーで座間まで連れて行ってもらえることになったらしい。
座間キャンプがいったいどこなのか分からないし、先輩たちがいったいどこにいるのかもわからない、そんなあまりに情報がない状況だったから、事を解決できなくても仕方がないとは思うけど、海外に2年も住んで、大学院を卒業しておきながら、もう少しマシな会話はできなかったのか? と電車の中で頭を抱えてしまった。
はっきり言って、私の会話力はこのままではマズいと思う。読み書き聞くことは学校に行って、授業を聞き、課題図書を読み、レポートを書き、あとはアホ面でテレビを見ているうちに自然とついたけど、会話力というのはどんなに読み書き聞くことができても、一朝一夕にできるものではないらしい。
もちろん、店で何かを買ったり、授業でクラスメートとちょっとした討論をしたり、といった型にはまった会話はできるのだが、いきなり何の準備もなく、アドリブを要求されると、「うっ」と詰まったっきり、頭が真っ白になって、「あー、うー」となってしまうのだ。
しかし、会話とは準備して行われるものではない。常にアドリブの世界なのだ。
私は、昔から言葉に異様に執着するタチで、小さい頃から他人の発言に翻弄されっぱなしだった。人の言った言葉がきっちり記憶に残っていくので、四六時中その言葉をキレイに復元し、「あの人はどういうつもりでああ言ったんだろう」などとあれこれ無意味に悩み、答えのようなものを得ると、脳の中の「処理済」の引き出しに移し、また「未処理」の引き出しを開けて、過去の他人の言葉を復元し、しばらく悩む、という作業を延々と繰り返してしまう。ヘタすると、20年前の言葉だって何度もひっぱり出して思い悩むこともある。
その作業が遅々として進まないので、「未処理」の引き出しがすぐにパンク状態になり、エラーが出る。だから、一度にたくさんの人と会うと処理不全となり、しょっちゅう理由もなく鬱になってしまうのだ。
自分があまりに他人の言葉に執着するもんだから、人も自分の言葉に耳をそばだてている気がして、自分の発言にも意識を鬼のように集中する。自分が言った言葉はそのまま記憶しておいて、後で一人反省会である。こうなると、アドリブで言葉を発することに躊躇してしまうようになる。仲良しの友達ならまだしも、近所であまり親しくないお隣さんとばったり出くわそうものなら、「何か、何か気の利いたことを言わなくちゃぁぁぁ」と、頭に血が上り、言葉が何も出てこなくなる。
私にとって言葉はコンプレックスの塊だ。コンプレックスだということを意識すればするほど、頭は真っ白になるばかり。未だに、相手の顔が見えないことで言葉が強調される電話は、たとえ日本語でも大嫌いだ。
このコンプレックスがあるがゆえに、英語という言語にここまで執着し、それを文字で人に伝えていくというライターの仕事を選び、ここにこうして文章を書いているということにつながったのかもしれない。書くことはアドリブを要求されず、何度だって納得がいくまでやり直せるからだ。
しかしであるよ、日本語だろうが英語だろうが、何も意識せずにスラスラとソツなく話してみたい。そのためには、意識の改革が必要みたいだ。相方に、他人の言うことは話半分で聞いた方がいいよ、と言われ、ようやく最近になって初めて、いい意味で聞き流すということがどんなことなのかわかってきた。言葉なんて、実は全てに意味があるというわけではないのかもしれない。
もっと気持ちを大らかに持てば、言葉のみならず、私のダメダメな部分はなにもかも解消されのかもしれない。全ては根底の殺伐とした愛のなさが問題なのだ。愛だ。愛が足りないんだ、私には。何は無くとも、愛を肥やそう。
つづく。
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>>「匿名メールフォーム」へのレス
・犯人は野菜ですね。繊維ですね。
自家製らっきょうは巨大で臭くてサイコーです。
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