あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 2007年06月29日(金)

真昼の部屋にたたせて
薄い皮膚を一枚脱がせる
貴方
うす緑の皮の間から
ほたほたと生き物は落ちる
その度にわたしは
沼の事を忘れる

  明日の事をききたくはない
  だから昨日の事や来年の事を話す
  駄目だよ
  明日の先にはあさってもしあさってもあるのに
  一年のうちの明日だけが怖い
  駄目だよ、って
  来週も再来週もいつかの明日なのに
  言わないで、駄目だよ
  駄目だよ

ぬらぬらと銀色にひかる
沼の生き物たち
わたしは
おたまじゃくしだったろうか
蛙だったろうか
脱がされた皮膚は乾いて
水底に逃げることもできない

  真昼の光は白く
  貴方の爪もまた白い
  まぶしくて
  眼を閉じることもできない


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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe