あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 2006年12月31日(日)

方角、なんて忘れてしまった

ただ私は穴を掘りたかった
明日のとか昨日のとか関係なく
ただ白い腹の上に
スコップを突き立てて
ひらいてしまいたかった

せわしなく降るくせに雪は
静かで静かで
なおさら焦ってしまうのだった
来てしまう
来てしまう
来てしまう
逃げられずに穴を掘ることしか
出来ないのだ


なんど言っても貴方は
雪が溶けてしまうと
わたしの手の暖かさをなじるのだった

ようやくひらいた穴は
私をおさめるには小さすぎて
詰め込んだこどもを吐き出すと
むっつりと口を閉ざした
なきがらを拾うこともせず
わたしは貴方の手をおそれていた


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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe