七竃雑記帳
桂木 炯



 






こっちは随分雨が降っているよ
ひっきりなしにガラス戸を雨粒が叩く音がしているよ
ここまで派手に降ると鬱々とした気にもならなくていいね
音がうるさくて眠れないから少し話そうか
さてなんの話をしよう?



とりあえず



聞かれたことからこたえてみるよ







-信じる事-


「自分を過信していない人間なんていない」
そう思うようになったのは最近
過信しているからこそ、世の中という
結局はがんじがらめになったハコっぽい物の中で
狂わずに生きていけるんだと思う
自分が自分を信じないでだれが自分という生き物なんて
信じてくれるんだろうね?

自分の力を間違って評価して
過信するのは危ないけれど、自分はおおいに過信してあげて
良いものだとおもっているよ


-自分-

「人からみえている人格」と「なりたい人格」
二つが合わさって初めてなりたつもの

これを探して毎回肯定していくのが生きるっていうことだから
言葉としてあっても
本質は誰も知らないものだと思うんだよ
使いやすいから使うけれど
ぼんやりした意味しかない言葉だよ
関西人に至っては
相手のことを「あなた」と呼ばすにこう呼ぶぐらいなんだから
柔軟なふにゃふにゃした言葉なんだよ
それを固くとらえようっていうのが無理な話なんだよ
もともと無いはずの言葉だよ


-考え-

「頭を割ってでも他人には見えないもの」

口頭で、文章で
なるべくもとに近い形で伝えても
一瞬で砂みたいに崩れて飛ばされるもの
受け取る側の判断で水のように形が変わるもの

何かをするときに伝わらなきゃいけないことの選抜は重要で
そのうえ記号化することが最も重要
どの年代間・性別間でも通用する記号に置き換えるには
知識よりもなによりも
受け取る側の「考え方の基盤」を経験に基づいて
想像することが必要、この経験は“年齢”に比例していると思うきっと
だから私は、まだできないよ


-現実-

「反対に位置する言葉は理想」
間違いなく明日の朝も目が覚めることを現実だと思ってはいけない
それこそが理想だと思う
そりゃぁ、直視したら生きていけないよね

-依存-

「他のものに頼って成立していること」
自己肯定のために人は生きているらしい
そのためには“必要だと思ってくれている他人”が必要で
そう思ってくれることに“依存”して生きているんだよね
だから、他人に依存しないで生きている人なんて一人も居ないと思う
他人がソコに存在していないと人間て生きていけないんだよ


-関係-

「なんらかの関わりが有ること」「相互の関わり具合」
そういう意味しかない言葉なので
どの関係を聞きたいのか焦点を絞ってもらわないと
何も言えないね






雨はまだ激しいよ
鬱々はしないけれど、こうもしつこいと
何もかも面倒になってくるね


窓ガラスには筋どころか丸い斑点だけが打たれていって
歪んで写る自分の顔が妙に醜くみえる
窓越しの街灯がにじんで別世界に見える
いかにも何か起こりそうだね
雨の日が舞台のミステリーが多いのはそのせいかもしれないね
ミステリーなんだから謎はつきものだけれど
どうして君はこんな簡単な言葉たちを
ひねり回して聞いてくるんだい?



答えは出たのかい?



こんな雨の日に
無駄足を踏ませたツケは高くつくから覚えておくといい





2003年06月23日(月)
自己紹介 目録 手紙



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