2002年12月19日(木) >> 雨。
今朝も笑顔満開なお天気お姉さんのチカちゃんが
「沖縄地方は、夜から雨が降りやすくなります!」
なぁんてゆってたにも拘らず
7時を廻っても一向に明かりが差し込んで来ないベランダから空を見上げてみると
「所詮、予報は予報。」と云わんバカリの、コレマタ見事な曇天模様。
資源ゴミのダンボールをまとめて、集積場所マデ運んでいたら
ひんやりとした朝の空気の中を、大粒の雨が降り出した。
「・・・ウソつき。」
そんなあたしのつぶやきが聞こえてしまったのか
アスファルトに響く音さえも痛々しい乱暴な雨は、更に激しく降り続く。
基本的に乗り物にもヨワいあたしは、今日1日中ものタクシー移動を覚悟した。
ひととおりの雑用と病院での検診を済ませて、お夕飯の買い物をし終えても尚
強く激しい雨は続いていた。
それどころか
時折、大きなカミナリまでもが空を裂き始めていた。
脱力の否めない大きなため息をひとつついて
未だカラダに残るクルマ酔いの揺れをひきずりながらも更にタクシーへ乗り込むと
行き先だけを少し乱暴に告げて、後部座席に横たわった。
乗車した途端、自宅までカラダが保たないだろう事がわかったからだ。
タクシーの中の匂いは、とても独特だ。
あたしは元々いろんな「匂い」がニガテなタイプなので
普段乗り込むクルマの中では、窓を全開にして乗車する事にしている。
どうも横隔膜がトテモ軟弱らしく、揺れに対しての耐性がからっきしなのだ。
そんな揺れによる吐き気を誤魔化すかのようにも
とにかく風を受けながら乗車する事を心がけているのですが
しかしコレは
風を受けていられるバイクに乗っていたとしても
動きが激しかったり長時間の揺れが続くと途端に具合が悪くなってしまうほどなので
所詮、「焼け石に水」程度ではあるのです。
けれど
微々たる持久力をどうにか持続させる手段としては、コレしかないのです。
なのに
こんなにも大雨カミナリ降り放題な今日の天気じゃあ
窓を開ける事なんて、トテモじゃナイけど叶わない。
もう
自宅までの距離さえ耐えていられるかどうかすらもわからなくなってきて
もどかしいまんまで目を閉じた。
ただ
走行場所は把握できずとも、走行スピードくらいは体感できる。
この運転手サンは時折、ものすごくスピードを落とすのだ。
こっちは出来るだけ急いで欲しいって云うのに。
信号にしては回数が多すぎる。そんなに混んでるのか?
でも普段なら、どんなに混んでても15分もあれば到着している距離。
既に10分以上の時間が経過しているにも拘らず一向に停車する気配のないクルマに
アタマが朦朧とし始めたあたしは、降車したくて出来なくてどんどんイラついてきて
半分怒り任せでフラフラのカラダに勢いをつけて無理矢理アタマを起こしてみた。
すると、またしても走行スピードの落ちるタクシー。
サスガに声を上げようかとしたその時
視線の左端に、鮮やかなカサの青色が飛び込んできた。
「・・・あ。」
なんとその運転手サンはガードレール内を意識しながら
時折すれ違う歩行者への水しぶきを気遣いつつ走行していたのだ。
それは既に大雨でズブ濡れな歩行者への、これ以上ない気遣いだった。
思わず、感嘆が漏れた。
そして運転手サンはバックミラー越しで視線の合ったあたしに
「お姉ちゃん顔色悪いね〜。もうすぐ到着するから頑張ってね〜。」
と、心配そうに声をかけてくれた。
・・・恥ずかしくなった。
ローカルニュースを毎日のように賑わしているほど
マナーの悪さ加減だけが露呈されているオキナワのタクシー運転手サンの中にも
これほどの気遣いをなさっている方がいらっしゃった。
実際あたしも
しつこく声をかけられたり、急ブレーキや信号無視なんかもアタリマエにされてたり
告げた行き先も完全無視でそのまま自動車ホテルに車庫入れされちゃったり
果ては
ストーキングと暴行未遂で相手の運転手を免職にまで追いやらなければならなかったほど
実に非常識でクっダラナイ被害を受けてた身でありました。
そんな事が日常で起こってしまうくらいにも粗悪なタクシー業界で
こんなにも誠実な運転マナーを実行して下さっている運転手サンがいらっしゃる。
それに対して、あたしの態度はどうだろう?
「安全運転、ありがとうございます。」
荒い息遣いでも感謝の声をかけるのが、そんなあたしの精一杯だった。
「雨も悪くないなぁ。」
何度目かにしても改めてそう思えた
冷たい雨の中の、とってもあったかぁい出来事でした。^^
◇◆◇ めぐ。 |