...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年03月22日(土)

いつもと同じ様に早朝の散歩に出た時だ。
普段人目を避けて歩いていた僕達だったが
その時は・・・どうして見つかってしまったのか。
しかも、よりによってあんな奴にだ。
前から走ってきた男に、僕は気付かなかった。

「藤沢、おい藤沢じゃね?」

すれ違いざまに声を掛けてきた男にびっくりしてそちらを向いた。
誰だ。僕の名前を呼ぶのは。

「お前藤沢だろ?なんでそんな格好して歩いてんの?」

そいつはずかずかと僕たちの傍に近寄ってきた。
そしてマジマジと僕の顔を覗き見る。
僕はおずおずとそいつの顔を窺った。
木戸。
よりによってクラスの奴だ。
しかもあまり仲が良くない・・・というか嫌がらせを
受けた事くらいしか接点の無い奴だった。
いわゆる「不良」の類の男でクラスの中には彼と同類が数人いたが
僕の様などちらかと言えば社交的じゃない人間は
彼らのからかいの種になる事はあったが
所詮学校から出れば何の関係も無くなる程度の関係だ。

要するに、学校の外で会うには一番都合の悪い奴に
会ってしまったという訳だ。

「俺、週に2回はサッカーの朝練があんだよ。
 お前毎日こんな格好して歩いてんの?
 いやー今日はいいもの見ちゃったなー」


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