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2004年06月24日(木) そこにある不安。

本当に勇気があるのなら、直ぐそこの高層マンションから飛び降りて、消えてしまいたい。
実際飛び降りたら、醜い死体に変わって、消える事は出来ないのだけれど。
前から書いている通り、私は勇気がない。心臓が小さい。
だから死ぬなんて出来やしない。

その勇気のなさを、主治医は歓迎する。
「命を繋ぎ止めるなら、それがどんな形でも構わない。怖いから、死ぬのが怖いからそれだけで生きている。それでいい」
と主治医は言う。

前に一度、そのマンションの8階まで登ったことがある。
まだまだ寒い3月の夜中。誰も居ないマンション。階段を一段ずつ上がるたびに、
これがあの世への階段なんだと自分に言い聞かせた。
8階へ辿り着いた時、もしかしたら私は飛べたのかもしれない。

でも、足がすくんだ訳でもなければ、怖かったわけでもない。
単純に、私の持参した携帯が着信したから、我に返っただけ…。
あの時飛んでいたら、私は今頃どうなっていたのだろう。

そのほうが幸せだった?
それとも、生きている今の方が幸せ?

その答えは、誰に聞けば、何処へ行けば出るのだろうか。
死ぬ勇気のない私に、それを確かめる術等ない。



安宅 さゆみ   

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