CYMA’S MURMUR

2004年01月22日(木)   家族に戻る


ただ純粋に不思議なのだけれど

家族に戻る

ってのは本当に可能なんだろうか?

何の話かというと、浮気がばれて家族の元に戻る人のこと



うちの父は私が中一のとき、会社の女性と浮気した

相手の女性には当時婚約者がいて

その人が乗り込んできたことで発覚した

会社にもばれた

母は父に付き添って、上司のところに説明と謝罪に赴いた

父は左遷になった

が、運よく、親しい上司が目をかけてくれて、

左遷は栄転のようにも見える形になった

家を買ったばかりで、私は私立中学に入学したばかり

父は単身赴任になった

身から出た錆だった

単身赴任6年目にして

大学に入った私が上京して一緒に住むようになった

それからさらに数年して、妹も学校を終えたのを機に

妹と母も上京して家族4人の暮らしになった

十分すぎるほどの制裁を父は受けたと思う



両親は今のところ離婚していない

そこそこ仲良く二人で老後を暮らしてる

「それでもまだ許せない思いがお母さんにはあるんじゃない?」

妹に言ってみたけど

「もう、そんなことないでしょ」

と否定された

そんなものなのだろうか

過去は、目立たなくはなっても、気づかなくはなっても、

なくなりはしないでしょ

母はあの時なぜ離婚しなかったのか?

中一と小四の娘がいたから?

経済的に自活できないから?



少なくとも家族を捨てる気はなかったという点で

父の情事は本気ではなかった

浮気と呼ぶべきものだったと思う

でも

そこに愛情と執着がなかったかというとそうでもないだろう

中年男が不倫の穴に落ち込んでいく心理に

今の私はすごく共感してしまうのだ

穏やかな日常に、まぶしい非日常が差し込んできたとき

それを拒むのは難しい

だからといって

それは正当化されるべきではない



当時まだ幼かった私は

「ばれる浮気するなんて馬鹿」

と父のことを思った

そのくせ、父が自分たちを捨てることなんて

みじんも考えもしなかった

幼くて甘い私



家族は本当に再生されたのか?

私にはわからない

ここにある愛情は本物だけれど

家族という枠組みは偽物のような気もする

幻想だ



なにが言いたいかよくわからなくなってきた

でも私が思うのは

一度壊れてしまったものは決して元にはもどらないということ

必ず別の形になってしまうということ

ある種の欠落を抱えることになるということ

だから

家族を捨てる気がないなら浮気ですらすべきではないし

家族を捨てられるくらい本気なら

なおさら手順を踏む必要があるということ

関係というのは、永遠に変形し続けるものだから

再生というか再構築というのはありえるだろうけど

心の奥に残されたはずのシコリの存在が

私は気になる





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