CYMA’S MURMUR

2003年10月14日(火)   すきま風

渋谷のはずれのオフィスビル。

ここ1週間ほど、夜になるとエントランスで若者たちが踊りに興じている。
夜になると防犯上開かないガラスの自動扉を鏡代わりにして。

見るたび、元彼のことを思い出す。
彼は、ブレーカーだった。
ブレークダンス・ダンサーだ。

踊るのを見せてもらったことはない。
サークル時代の写真は見たことがある。

彼は大学卒業後もサークルメンバーとつるみ、
仕事をしながら夜中はダンスレッスンをするという生活を続けていた。
私と出会う1年ほど前まで。

私と別れてからまた踊り始めたと言っていた。
やっぱり体を動かしていないとダメなんだ、と。

今は渋谷に勤務しているということだし、
ここに彼がいたっておかしくないのだ。
踊っているのかもしれないのだ。

そんなことを考えて、
思わずそこに集まっている人達の顔をしげしげと見てしまう。

まだ、心に穴が開いているのを感じる。
これは、決して埋まらない。
存在に気づかなくなるかもしれないけれど、なくならない。

何度でも思い出す。
不在は必ず穴となって残るのだ。




 < 過去  INDEX  未来 >


しぃま [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加