2003年フランス 監督フィリップ・リオレ キャスト サンドリーヌ・ポネール フィリップ・トレトン グレゴリ・デランジェール
作品の舞台、キャストの魅力、そしてストーリーと印象的なシーン。 そのどれもが素敵で、見終わってからしばし・・胸に込み上げるものを感じながら余韻に浸る映画。 こういう作品を観ると、「あぁ・・映画ってやっぱりいいな」って思ってしまう。
村人の結束も硬い島の地に灯台守として赴任してきた一人の男。 経験もなくよそ者である彼アントワーヌを村の灯台守を始め人々はなかなか認めようとはしない。 灯台守を率いるイヴォンもそんな一人だったけれど、一緒に仕事をするうちに、やがてアントワーヌの人柄と真面目さに心を開いてゆく・・けれど、そんな二人の男の心には同じ一人の女性がいて・・。
その頃の灯台守って、こんなに危険で大変な仕事だったんですね、荒れた海の迫力と長く地上を離れた生活・・。灯台の赤い光がとても印象的でした。 優しい微笑をたえず浮かべたアントワーヌ、でもどこか寂しげで何かを心に秘めているかのような(彼の心に影を落とす辛い出来事の告白は、衝撃的でしたよね)、魅力的ですよね。 そしてまた寡黙で実直なイヴォン、彼がまたいい人なので・・イヴォンの妻マベの揺れる気持ちがすごくよく分かるというか。 マベとアントワーヌが出会ってどんどんと惹かれてゆく・・それが二人の交わす 視線で語られる・・伝わってくる・・その上手さ。 小さな波がやがて・・心の中に大きなうねりを生み出すような・・情熱的なあの花火の夜のシーンに繋がってゆく・・そんな感じでしたね。
マベを演じたサンドリーヌ・ポネールがとっても魅力的で。彼女なら仕方ないわ・・特別な存在って思われても・・って納得ですよね。 青いスカートや紺のニットがとても似合ってて、彼女の髪の色に映えるんですよね、素敵でした。
イヴォンとアントワーヌがだんだんと打ち溶け合って一緒に灯台生活をしていくのも嬉しくて、(灯台に住み着いている)猫を交えてのシーンが良かったですよね。アコーディオンやなんだかいつも飲んでるようなコーヒーや。 そういう小物使いも効いてましたよ。 無造作に重ねておいてあるカフェオレボウルもいい感じで、気になって(笑) でもしっかりとブラックでしたよね!やっぱりほら、灯台ではミルクを入れるより濃いブラックでしっかりと目を覚まして・・ってことでしょうか。
知ってしまったイヴォンとアントワーヌの最後の仕事の夜の出来事。 ドキドキしました、どうなるのかしら・・って思って。迫力ありましたよね。 そして、三人のその後・・それぞれの秘めた思い。そういうものを想像すると切なくってこみ上げてくるものがあって。 やがて生まれてきた娘を愛したイヴォンの心のうちも・(涙)
観光地となったジュマン灯台に飾られた1枚の写真。 「ジュマン1963」イヴォンとアントワーヌの笑顔に思わず熱いものがこみ上げました。
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