2007年10月14日(日) |
「記憶の棘」(ネタバレあり) |
2004年アメリカ 監督ジョナサン・グレイザー キャスト ニコール・キッドマン キャメロン・ブライト ダニー・ヒューストン ローレン・バコール アリソン・エリオット アーリス・ハワード アン・ヘッシュ ピーター・ストーメア テッド・レヴィン カーラ・セイモア ミロ・アディカ
ジョギング中の心臓発作で夫のショーンを失くしてから10年。いまだに彼を忘れることが出来ないアナだが、長年自分を思い続けてくれたジョゼフと新しい人生を歩いていこうと決意する。しかし・・そんな彼女の前に突然現れた10歳の少年は、「僕はショーン、きみの夫だ」と名乗るのだった・・。
※今回ネタバレ感想ですので、未見の方は注意してくださいね。
生まれ変わりを名乗る少年とのロマンチックなラブストーリーを想像しながら見ていたら。 そういうものでは無かったですね。 まず、映画の中でとられる「間」。人物たちの動きや台詞の間の「間」、これが独特でちょっと不思議なムードを持ってて、これは面白いと思いました。 でも見ている間は、少年のかなりの強引さや一途さが恐かったり(キャメロン・ブライトの目力はすごいよね)アナに対してもええ〜!!って思うところがあったり、何より、ショーンの生前の浮気の露見が・・あまりにショックだったので・・むむむ・・と思いつつ観終わったのですけど。 でも・・これがね、見終わったあとで。ずーーっとこの映画について考えてたりする自分に気づいて。 映画の中で見えていたものが、もしかしたら、もっと他の意味を持っていたんじゃないか・・とか。別の視点では違うものだったのではないか・・とか。 そういう意味ではとっても後引く、魅力のある作品だと思います、きっと見た人ひとりひとり、全然違う印象を持つ映画じゃないかな。
少年は本当に夫の生まれ変わりだったのだろうか・・ 生まれ変わりを信じてる私にはそうであって欲しいと思うけど(出来れば大島弓子さんの「つるばら つるばら」のような生まれ変わりだと嬉しかったけど)もしかしたら、ショーンの一部の記憶が彼に宿ったものかもしれない・・とか。 死んだ時にショーンは浮気を後悔してもう一度アナを愛するために生まれ変わったのかもしれないとか・・。 いろんな風に想像しちゃいますよね。
クララの話が全て本当かどうかは分からないけれど、でも夫であるクリストファーが「彼はショーンではない」と言い切ったのは、少年が迷わずクリストファーに抱きついたから・・ですよね?夫も妻と彼の浮気を知ってて、二人の間は生前からおかしくなっていたとしたらショーンのこの行為はおかしなことだから・・。
そこでね・・ここから先は見終わってからひっかかったことなんですけど。 アナがクリストファー夫婦を訪ねたとき、「(ジョゼフとの)婚約パーティには来てくれないかと思ってた・・」って言ったあの言葉はどういう意味だったのでしょう? (ショーンを含めて)この4人には何かもっとあったのだろうか・とか。
そもそもアナは、本当にショーンの浮気を知らなかったのだろうか。 もしかして、アナが何か感づいていたのだったら。 生まれ変わりだという少年の一途に自分を想う気持ちがどれほど嬉しいものか、もう一度新しく二人でやり直せるかもしれない・・とすがりたい気持ちになるのではないか・・とか。 これは私の全く勝手な想像かもしれませんが・・そんな風まで考えたりしちゃったんですよね。そう思うとなんだかとっても切なくて。
アナの入浴中に少年が入ってくるシーン。あんなにぽちゃぽちゃしてる(しかも白いパンツ!)男の子がお風呂に入ってくるだけのシーンなのに、なんであんなにドキドキしちゃうんでしょうか。とってもイケナイシーンに思えるのは、少年の見つめる目と、ニコールの美しさのせいでしょうか。 短髪のニコールの美しさ!(長い時より好みなんです)背中も綺麗ですよね!! ローレン・バコールが!!また!貫禄なんですよ〜!!そこにいて、しゃべる・・。ただそれだけでオーラが出てる! そして私的にとっても嬉しかったのはピーター・ストーメアですね、いろんな映画で個性的な役で出てる彼ですが、最近ずっとプリズンブレイクの彼を観ていたので思わず「アブルッチ〜!!」って思いながら見てしまいました(笑)
印象的なシーンといえば、 少年がアナに拒絶されたために気絶したシーンがありましたよね、最初のあたりで。 そのあとジョゼフと音楽会に出かけて演奏を聴いている・・はず・のアナの正面のアップ。ずっと、ず〜〜っと彼女の表情を追っているあのシーンは、すごかったですね。 彼女の中であの時、どれほどの感情が渦巻いていたのか、高まる感情や思いが伝わってくるシーンでした。
あとは・・・あのシーンですね。 静かな怒りを覚えていたジョゼフの・・爆発するシーン!!大人気ないけど・・なんだか分かるような気も(苦笑)いや、だって・・あんなに長い間、待って、やっとのことで婚約・・なのに邪魔をするのが10歳の少年でしたものね・・。
いろいろな切ない思いが残る中で・・でも私が一番辛いと思ったのは 「僕はもうママの子どもじゃない」 10歳の息子にこういわれた母親のショック。これが一番辛いんじゃ・・って。
原題は「Birth」。これは邦題の方がいいですよね。
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