「気に入りそうな国はありましたか?」 彼が訊く。 「さて、ね」 答える。
「見つかれば元の貴女に戻っても良いんじゃないですか?」 「無理ですよ、もう。 戦闘だって身体が覚えてませんし」
普段部屋からすら出てこないのに何故城を出てここまで来たの?
「確かに貴女の仕事は戦闘じゃありませんでしたけどね」 「ええ。ある意味もっと疲れました」
過去を持ち出した理由は何?
「ところで。 何故私と結婚したんですか?」
はい? 何か変なものでも食べましたか?
「欲しいものがあったからに決まってるじゃないですか」 「それってもう必要ないものですよね」 「全然。全く必要ないですね」 「じゃあ何故結婚生活を続けてるんですか?」
……言わない。 ぜっっったい言わない。 特にちょっと笑ってるその顔が気に食わないから死んでも言わないっ!
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