それを皆で望んだのか、と訊かれると返答に困る。 「独立」と言う響きが良かったから。 なんだかそれだけのような気がする。 あの頃に少しでもあの国の政治に関わった者なら「独立は無理」と答えたに違いない。
私が期待したのは違う国になってしまうことだった。 国民の殆どが入れ替わったら、もしかして。
やってきた領主は悪い人ではなかった。 悪い人であって圧政を布いていたら…とこぼした事があったけれど「彼」には首を横に振られてしまった。 「変わらないよ」と。
領主は「いずれは独立を」というようなことを言ったと思う。 自立した国民。自立した国を目指そう。 押し付けられたわけではない。 けれど。
前政権は殆どいなくなっていた。 それぞれ事情はあるのだと思うけれど、どちらかというと負けたからではなくてずっと引退したかったからじゃないかと思う。 依存の強い国民を役職者は投げている、とそのひとりから聞いていた。 「もう国内はどうでもいいの」 その状態を引きずったまま降伏した。 領主と領主の連れて来た役職者が頑張ってくれる。 このまま「独立しても」居ついてくれればいい。 どこかにそんな希望があった。
気が短いという噂とは逆に領主は辛抱強くいろいろと指導してくれたと思う。 でも暮れに帰国してみると、その時に頑張ろうと言っていた人たちの姿は無かった。
独立を望んだのは誰だったのだろう? そもそも私が言い出したリゾート地(誰も覚えてないでしょうけど)に自虐的な皮肉が込められていたことを、計画を進めている人たちは知ってるだろうか? 本気でそれを作ろうと動いているなら、そんなことは知っても知らなくても無意味なことだけど。
人が入れ替わってるはずなのに体質が変わらないのはどうして?と尋ねた。 「彼」は「居ついてる人の姿勢が変わらないから」と答えた。
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