誰にも言わずに出国した。中途半端なのは判ってる。でも時間がないんだ。あの時、マリアンへ行ったのと同じだね。誰に話している暇もなかった。ユーキさまも、どくたあさんもまだ知らない。誰もが可笑しいと思うだろう。話したことも、会ったこともない。ただこちらが一方的に知っているというだけの。その人の声を無視することができないなんて。でも気持ちは抑えようもなく。ああ…これだけ不義理をしたら、しばらくウマリには戻れないだろうなあ。