いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2011年09月28日(水) なんでも賛成するな!反対討論

たちあがれ日本は、ただいま上程されました第58号議案平成23年度大田区一般会計補正予算(第三次)、第61号議案大田区特別職報酬等審議会条例の一部を改正する条例、第69号議案八幡橋架替工事(その2下部工)請負契約について、第73号議案八幡橋架替工事(その1下部工)請負契約の変更について、の4議案につき反対の立場から討論をいたします。

区長与党を標榜されている会派のみなさんには、どうかご傾聴賜り、お役所やお役人の常識ではなく、区民の目線で議案を判断されることを強く求めるものであります。

第58号議案は、大田区一般会計補正予算(第3次)であります。本補正予算は、第2次までと同様に、その歳入原資のほとんどを基金取り崩しで賄っております。今回は補正額38億8956万2千円のうち、基金から25億3550万7000円を取り崩して充当しているのです。この結果、今年度の基金取り崩し額は169億2403万5000円となり、基金残高は890億円余となりました。万一このまま景気が回復せずに推移すると、5年後には基金残高はゼロになってしまうのです。すなわち、この調子で基金を取り崩して自転車操業を続けるならば、地方に散見される、財政再建団体へと転落する可能性すらある、極めて危険な考えのもとに成り立っていることに気づかなければなりません。夕張市が破たんした際に、市長やお役人の怠慢が指摘をされましたが、本来糾弾されるべきは、意思決定機関たる市議会であるはずです。

大田区でも、このような危うい補正予算を「区長与党」という、地方自治法、二元代表制が想定していない仕組みのために、賛成するとしたら、将来の地方自治史に汚点を残すことになるでしょう。このような、基金取り崩しに頼る補正予算編成には反対です。

さらに問題は、「緊急経済対策事業」という名称のバラまきです。4億8575万円が使われています。そして、そのほとんどが、区内業界団体に加盟している業者向けのものであることは大問題です。業界団体からの陳情に対しての予算措置でしょうが、このようなばらまきが「経済対策」になるとは思えません。

このような、業界優先のバラマキの仕組みは、短期的には業者や業界団体に喜ばれても、長期的には業者のためになりません。4億円程度の公共事業のばら撒きは、決して業者のためにはならず、ましてや経済対策には、ほとんどならないと断言しておきます。一部業界団体の陳情、要望を受けて、断り切れず、多くの関係のない区民の貴重な税金を使う悪習は断ち切るべきで反対です。

第61号議案は、大田区特別職等審議会条例の一部を改正して、同審議会に太田区長、副区長の退職手当の金額につき意見を述べる権限を与えるものです。松原忠義区長は、さきの区長選挙において他候補の「区長退職手当削減」の公約に対し、その見直しを挙げて当選をされました。ところが、選挙後の本年5月9日には、満額の2314万円の退職手当を銀行振り込みで受領をされたのです。内閣総理大臣の退職手当の4倍を超える高額な退職手当は、民間感覚では理解できないものです。

そして、その金額について、特別職等報酬審議会から意見を聞くという、首長としての判断を第三者に委ねようとする姿勢には賛成できません。全国の退職手当の先駆的自治体の首長は、自らの退職手当の減額もしくは廃止を、自らの責任において条例として提案し、その期限を自らの任期中としていることが多いのです。松原区長は、私を含む何人かの議員の反対をよそに、ご自身の区長在任期を3期12年とする条例を提案され、可決をされました。であれば、ご自身の判断で、ご自身の退職手当をご自身の責任で減額、廃止すればいいのです。

日本の国を崩壊させた菅直人前総理大臣は、震災復興を含め、様々な審議会などを立ち上げ、官僚たちを困惑させました。大田区でも松原区長が就任されて以来、実に様々な審議会、検討会が新設をされました。リーダーは、決断をしなければなりません。その責任は他人に押し付けてはなりません。自らのビジョンと責任において決断すべきです。このような責任転嫁とも言える議案には、到底賛成できません。

第69号議案は、八幡橋架け替え工事(その2下部工)請負契約で、マリコンと言われる五洋建設株式会社を冠としたJVと2億7069万円でなんと、随意契約で契約を締結するというものです。その理由は、その1工事の追加なので、競争入札にするより同一業者に施工させたほうが安上がり、という陳腐な詭弁であります。さらに、競争入札モドキで落札した、その1工事においては、区長が専決出来る5%の上限を使い切り、今回73号議案で当初金額より1億1331万3900円多い増額変更をしているのです。

今回69号議案では、随意契約で2億7069万円の追加工事を受注し、そのもとになる工事では5%以内の区長の専決処分を使い切ってしまったので、やむなく73号議案として、当初契約額より1億1331万3900円の増額変更をしているのです。当初、大田区予定価格の88.5%で落札された契約も、今回の増額変更により、予定価格の108%となってしまいました。なぜ、大田区の工事は『想定外』の埋設物がいつも出てくるのか、まさに天のみぞ知るであります。

大田区は、過去に呑川の川底の状況につき調査を実施しています。また、東京都は護岸耐震補強工事を実施しています。それら調査、工事の過程で当然、今回の両議案にあるような「想定外」の埋設物、構築物の情報も把握していたと考えるのが普通ですが、しかし大田区はこれらの情報の活用すらしていないのです。今後は、見積もり段階での現地踏査を詳細に行い、大田区予定価格の精度をあげる努力が求められます。そでないと、業界内で「大田区は想定外の埋設物で稼げる」が定説になりかねません。

反対はいたしませんが、関連する第70号は八幡橋架け替え工事(その3上部工)ですが、8社の競争入札で5社が辞退、1社が不参。かろうじて2社で入札は成立し、めでたく五洋建設が1億7010万円で落札いたしました。すでに工事を受注している会社に業界が遠慮して辞退したのでしょうが、まだまだの体質を露呈しています。第71号議案は、大田区立森が崎保育園改築工事で、第72号議案は区立矢口東小学校プール改築その他工事です。いずれも4つの共同企業体が応札しておりますが、識者による『談合を疑う原則』である『最安値不変の原則』が見事に表れています。すなわち、何回入札を繰り返しても、最も安い業者は不変で、2位以降は変わるという原則です。これは、事前に価格調整が行われている顕著な表れだと談合の専門家は指摘しています。結局、両議案の契約案件とも大田区予定価格には至らず、最安値の業者と協議し随意契約が締結されています。

その結果、業者は第71号議案では予定価格の98.97%、72号議案では98.99%という高率で契約することが出来たのです。業界がなかよしの場合、不落随意契約が最も高値で契約でき、また競争入札での高率の落札のように談合を疑われずにすむ方法なのです。

明確な確証はありませんが、過去の事例などから、これら3議案については、賛成に至る公明性が担保されていないため、議案採決を留保し、抗議の意味をこめて退席をいたします。

先日、多くの区議会議員の自宅、区執行部あてに伊豆高原荘のプロポーザルが茶番のデキレースであるとの怪文書が送付されてきました。発信人の意図は不明ですが、私はさもあらんと驚きもせずに受け取りました。このような疑義を大田区の入札や契約で持たれることは、もはや止めようではありませんか。

区議会議員各位におかれましては、議会改革で議会の制度を議論する前に、現在でも議会が持っている「自治体の決定機関」としての権能を適正に使おうではありませんか。特に「区長与党」という制度上想定していない呪縛に縛られている皆さんにお訴えいたします。区長やお役人ではなく、区民の側を向こうではありませんか。そのことを強くお願いし私の反対討論といたします。


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