いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2011年03月27日(日) 災害派遣、自衛隊に想う

 一昨日、私の予備自衛官としての訓練招集部隊である防空指揮群に電話をした。「いったい、いつ招集命令が届くのですか?早くしないと意味がなくなる」と。人事担当者は「いま連絡しようと思っていました。航空自衛隊は予備自衛官を招集しないと決定しました。」あちゃ〜

 3月15日に招集意思確認の電話があり、自分なりに「覚悟」を決めて招集命令書の到着を心待ちにしていた。10日の期間が過ぎ「招集しない」との決定。なんともはや、時間がかかるものだ。確かに、陸自の即応予備自衛官の訓練日数(年30日)に比較して、予備自衛官の訓練日数は5日間と短い。

 しかし、民間ボランテイアも被災地に入っている現状で、予備自衛官が出ないのはどうか。特に、航空自衛隊松島基地は大きな打撃を受け、人の手が足りないだろう。また、予備自衛官の実戦運用で得られる知識、問題点は今後の貴重なデーターにもなる。その意味で「いささか心配なオヤジ」でも招集する意味はあった。給料はどうする、被災した場合の補償は?常勤の勤務先との関係は、など面倒な問題も多々あっただろう。しかし、国難の時こそ予備自衛官の出番だ。10日も経過したうえで「招集しない」の決定は残念でならない。

 さて、現職自衛官の4割が災害派遣にさかれて国土防衛は大丈夫なのか、といささか心配していたら、やはりだった。

3月17日ロシア空軍電子偵察機が北海道西方から北陸沖の日本海の領空に接近。空自がスクランブルをかけた。日本海では米軍と自衛隊が復旧支援の共同作戦(トモダチ作戦)の展開中だった。これを偵察する目的だろう。

3月21日にはミグ戦闘機と電子戦機各1機が領空侵犯ぎりぎりまで接近した。これは、災害派遣で手薄になった我が国の防空体制を試すためだ。電子戦機が来ていることがその証左である。

3月26日には中国のヘリが東シナ海日中中間線付近で、海自の護衛艦「いそゆき」に異常接近。最接近時の高度は60メートルと、国際慣例で定められた高度150メートルを大きく下回っており、明らかな挑発行動である。

 以上のような近隣諸国の行為に対し、腰抜け政府は抗議一つ行っていない。震災対策で大変なのは理解出来るが、震災に目を向けている隙に国家の安全保障が蔑ろになってはダメだ。

 さて、災害派遣で大きくクローズアップされた自衛隊だが、意外に手当は少ない。同じ公務員でも消防官や警察官には時間外手当(残業手当)が支給されるが、24時間勤務が前提の自衛官には時間外という感覚はなく、もちろん時間外手当もない。

 あるのは災害派遣手当1日1620円(放射線汚染区域などは倍額)、死体処理手当1日1000円(損傷の激しい場合は倍額)だけが支給されるのだ。はたして、あの悲惨な現場の手当としてどうだろうか。勿論、士気旺盛な自衛官、また消防、警察官は手当の額など関係なく、職務を遂行されている。が、だ。一般の自治体職員が時間外手当を1時間4000円余も支給されているのを考えると、どうかなと思うのは私だけではないだろう。

 そして、親バカ一発。昨晩、アフリカのジプチに派遣されていた自衛官の長男が帰国した。まだ肉声は聞いていないが、メールによれば1週間ほど後には、被災地へ派遣されるとのこと。人のために生きる仕事に就いた誇りを感じる彼の言動には、オヤジも誇りを感じる。ご苦労さん!

 使えない予備自衛官のオヤジの分も頼んだぞ!

 災害派遣業務に従事されているすべての方々の安全と、被災者の皆様の早期生活再建を心よりお祈り申し上げる。

即応予備自衛官への陸上幕僚長訓示


****自衛隊生徒入校時に行った宣誓文(昭和47年4月7日)****
                      (自衛隊法施行規則第39条)
宣 誓
私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。

****予備自衛官採用時に行った宣誓文(昭和63年1月15日)****
                      (自衛隊法施行規則第41条)

宣 誓
私は、予備自衛官たるの責務を自覚し、常に徳操を養い、心身を鍛え、訓練招集に応じては専心訓練に励み、防衛招集及び災害招集に応じては自衛官として責務の完遂に努めることを誓います。

****吉田茂 内閣総理大臣 訓示(昭和32年3月26日)****
                   防衛大学校 第1期学生 卒業式にて

君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく、自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。

しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。

言葉を換えれば、君達が日陰者である時の方が、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。

一生御苦労なことだと思うが、 国家のために忍び堪え頑張ってもらいたい。 自衛隊の将来は君達の双肩にかかっている。 しっかり頼むよ。

                        


 < 過去  INDEX  未来 >


いぬぶし秀一 [MAIL] [HOMEPAGE]
 
↑今日の日記は気に入りましたか?
My追加