いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2011年02月28日(月) 大田区、日赤に融資16億円!返済は平成51年!金利1%

 いやはや、議員の目が節穴だったか、お役人が巧妙だったのか、凄い議案が出てきてたまげた。それは、大森赤十字病院に対し、大田区が税金から総額16億1131万円を最終返済期限平成51年で、金利1%で貸し付けるというものだ。

 大森赤十字病院は、その存亡が危ぶまれ、議会でも全会派一致で存続に向けた陳情を採択した経緯があり、経営支援については異論のないところだ。ただ、手続きの瑕疵を問題視しているのだ。

 お役人は、様々な契約議案、指定管理者の指定議案などを議会に説明する場合に「手続きは正しかったので、議決をお願いしたい」と、委員会で説明する。しかし、議会は議決機関なので「手続きが正しい」かではなく、「なぜ、この業者に決定いたのか」を知りたいのだ。

 が、多くの与党議員と呼ばれる人々は「手続きが正しい」ことの説明で満足して「賛成」してしまうのだ。つまり、普段のお役人の説明は「手続き論」であると言ってもよい。内容は二の次が、お役人のスタンダードでもある。

 ところが、今回の議案は正反対のロジックできた。「いささか手続きには問題があるが、その目的には問題がない」というロジックである。ダブルスタンダードどころか、大田区のお役人の言い訳は、その場限りスタンダード、または出任せスタンダードと言ってもいい。

 今回融資条例を上程してきた赤十字病院に対する融資は、実は、いつの間にか平成21年度予算書の292ペ−ジに「大森赤十字病院に対する改築支援」として16億1131万円を平成22年度から平成31年度まで行う、という債務負担行為という欄に書かれていたのだ。

 さらに、松原区長も平成21年2月20日の議会において「区は地域に不可欠な医療機能を守るため、改築費の補助や資金の貸付を行ってまいります」と、言及。今年度の予算書139ページには、16億1131万円のうち今年度貸し付ける分として1億6千万円が保健衛生総務費として計上済みだったのだ。

 本来、予算を計上するには、執行根拠となる法令、条例、要綱が必要になる。が、この融資にはなんの裏付けなく議決され、予算計上されてしまった。そして、ついに大森赤十字病院との「お約束の日」が近づいて、あわてて融資条例を議会に提出したのだ。

 なにしろ、3月7日に条例が可決後、3月15日までに融資の申請をし、融資決定を受けたら3月18日までに区長に請求書を出し、年度内3月31日までに1億6千万円が日赤に送金される、というドタバタ条例なのだ。

 今回の条例の融資限度額と、平成21年度予算書の債務負担行為の金額は1万円単位まで同じなので、平成21年度予算編成の時期である平成20年11月ごろには、この融資スキームが決定していたのだろう。

 いかにも金融の素人が作ったと思われる融資のスキームは以下のようなものだ。

総額16億1131万円を平成22年度から平成31年度まで年度末の3月に1億から最大3億6千万円を貸し付ける。返済は貸付から20年間とし5年間は返済を据え置く。金利は30年間1%。

 来年度からは毎年1億1千万円の貸付が、7年後の平成29年度は3億6千万円と増え、平成31年度も3億2131万円と増えているが、その説明はない。まあ、改築資金を10年に渡り毎年借りるという説明は不自然なので、毎年度末の「不足運転資金資金」か、年度末ごとに返済期限の来るより高利な民間資金の「弁済資金」を低利で、20年の先延ばしで借りる、というのが実態だと思われる。

 しかし、長期建築資金でもない歳出を10年もの債務負担行為で固めていいのだろうか。わかりやすいのは、16億1131万円を一括して「改築資金」として貸付けて、弁済期間30年にするほうがスッキリする。だいたい、貸し出し金利の1%の根拠を問うと「日赤の支部が本社から借りる金利」だそうだ。おいおい、社内金利じゃないか!

 ちょっと難しい内容かもしれないが、疑義のある議案なので「退席」することにする。勿論、議員さんは私以外、皆さん素直なので、間違いなく議決されます。ご安心を!

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