いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2010年07月29日(木) お役所の狭間で救われない失職者130名@大森記念病院

 昨日ある会合で旧知の知人から、とんでもない事実を知らされた。それは、大田区内で今月10日に破綻した(経営者は休院と言っている)大森記念病院で、なんと5月から給与が未払いで(一部幹部は4月から)、130名の職員(パート含む)が路頭に迷っている、ということだった。

 この病院の休院は、さる15日の保健福祉委員会で報告があったので知っていた。休院にいたる時系列は以下である。

6月21日、前蒲田医師会長の黒田病院院長の経営コンサル小林女史から、この病院の従業員に対し7月10日をもって「休院」とのことが知らされる。同時に、東京都にも同様の届出。

6月25日より院内に「転院調整室」を東京都、大田区保健所、大田区医師会と合同で設置。入院患者93名の転院にあたった。

結果、93名の入院患者中2名が退院、5名が7/9までの死亡。残り86名は転院したが、本日判明しているだけで、その後2名の方が転院先で亡くなった。

 この大森記念病院は、高齢の徳山代之理事長(すでに病床にあり経営にはタッチできず)が設立した医療法人東京厚生会が経営しているが、理事は親族のみ、評議員は形式だけで、開催していない議事録が都に提出されていたり、典型的な個人営業の病院である。

 その理事長さんは、バブル期には土地を購入するなど、医業よりも投資にご熱心だったらしい。そのせいか、診療報酬はリバイバルワンというサービサー(債権回収会社)に差し押さえられ、支払いは患者の個人負担分の現金で凌いでいたが、ついにどうにもならなくなり休院した、というのが実態である。勿論、病院の土地建物はすでに担保に入っていて、一時は競売にもかけられた。

 問題は、唯一の経営陣である理事長夫人(81歳)である。破綻後も病院最上階に暮らし、我関せずとか、うな重などの「出前」を取り、娘運転の外車で出かえる姿が見受けられる。

 さらには、このお婆さんが「事業破綻」と断言しないために、130名の従業員の未払い給与が救済されないのだ。国では、このような場合に労働者保護のため「未払い賃金の立替払制度」を設けている。

 これは、所管労働基準監督署長の「倒産」認定をへて、独立行政法人労働者健康福祉機構が未払い賃金を支払うものだ。ところが、経営者が「事業を再開したい」と言っているかぎり、労基署はこの「認定」に及び腰である。

 結果、130名の未払い賃金は、宙に浮いたままになっている。また、現在は、事務長など7名の職員の方々が「ボランテイア」で、最後の医療報酬の請求や未払賃金の計算などを行っているが、彼らの給与とて支払われる目処はない。それどころか、理事長夫人は「労働債権」で確保すればいい、と、まったく当事者としての自覚がない。

 労働者を保護する監督署が、及び腰。大田区は「病院は都の所管」、東京都は病院不足から「休院」を1年は認めている。1年間で再開しないと自動的に「廃院」となる。ところが、賃金の立替払いは、倒産企業退職から6ケ月内に申請しないと無効となるのだ。つまり「泣き寝入り」である。

 だいたい、派遣村などという「働く気があるのかないのかわからない」人々には、あれほど手厚かった行政が、必死に地域医療に貢献し、経営者の経営判断ミスで失業に追い込まれた方々に、あまりにも冷たいではないか。そして、あまりにも「杓子定規」ではないか。

 地元自治体である、大田区が「コーデイネーター」として、それぞれの官庁の調整を行い、再就職の斡旋、住宅手当の支給、離職支援金の貸付など、一元的に対応する姿が望まれる。が、多分、絶対にやらないだろう。情けないぞ「民間」区長さん!

 このうえは、社会問題として提起するしかあるまい。頑張れ130名!!

(当初は、すべて匿名で記載していたが、8/4産経新聞が実名で報道したので、本ブログも実名に変更した。)

(後日追記)********お礼とお詫び*********
8月4日、大田区野田副区長より、一次的な相談窓口として、大森生活福祉課(電話03-5764-0665)で対応することにした旨連絡があった。若干のタイムラグはあったが、適切な対応に感謝するとともに、上記の「絶対にやらないだろう〜区長さん」の部分は、適切ではなかったと深謝申し上げる。

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