2005年02月01日(火) |
使えない事業再建者向都営住宅@お役人流 |
都営住宅や、区営住宅など募集の初日には、各議員のボックス(お役所からの文書を受け取る郵便受けのようなもの)に、各募集要項1部が配布される。今日から、都営住宅の空家募集が始まるので、三種類の案内が入っていた。
そのひとつ事業再建者向定期使用住宅の案内をみて笑ってしまった。それは、いかにも「お役人的」な申し込み資格だったからだ。
この住宅は、「事業の破綻により住宅を失うことっとなった中小企業者で、再建に向けて意欲的に取り組む者を居住面から支援する(募集案内から)」ものだそうだ。
しかし、その入居要件は次の3つを具備していることが求められる。 1.都内居住3年、事業経営3年 2.民事再生法による認可決定から1年未満 3.民事再生手続開始前後1年以内に自己の所有する住宅を失った者
要件1は問題がない。2.3.が大問題なのだ。 まず、民事再生決定出来る中小企業は、実は破綻企業のエリートであるということだ。会社再生のプロ川野雅之先生は著書のなかで以下のように述べている。
「万策が尽きたら、民事再生法を申し立てればいいや」経営者のなかには、このように考えている方がいます。しかし、これは大きな誤りです。資産の大半を担保に提供し、手持ち資金が枯れてからでは、民事再生法では再生できません。おかしな話かもしれませんが、民事再生法を申し立てをするには、申し立てを前提とした経営が必要となります。(会社再生102頁より)
つまり、住宅困窮になるような状態で民事再生など申し立てる余裕などない、ということなのだ。実際、私自身、特定調停の場で、大手企業の弁護士から民事再生をしてくれれば債権放棄をする、とすすめられたが、その余力がなくお断りした経験を持つ。
民事再生には、多くの費用が必要となり、これが捻出できないからだ。 申し立て手数料(印紙1万円)は大したことはないが、弁護士報酬や、下記の裁判所に払う予納費用が出せないのが破綻企業の実情だ。
予納金基準額 負債総額 予納金額
5000万円未満 200万円 5000万円〜1億円 300万円 1億円〜5億円 400万円 5億円〜10億円 500万円
大田区内で破綻する中小企業の大多数が、民事再生ではなく、自己破産や、任意整理を選択していることからも、この制度の敷居の高いことがわかる。
東京都のお役人は、聞きかじりかなにかで「民事再生」という要件を作ったのだろうが、中小企業破綻の実情をまったく理解していない「絵に描いた住宅支援策」である、と断じたい。ましてや、東京都全域で、たったの10部屋とは情けない。 これでは、中小企業者の納税意識は下がる一方だ。なにしろ、都営住宅は、非課税世帯が多いのだから…
頑張れ!石原都政!
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