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2020年05月06日(水) 「Dead or School」のこと

 8時頃起床。ゴールデンウィーク最終日とか、いいかげんなことを言わないで欲しい。

 「Dead or School」(Studio Nanafushi)の感想を。
 地上を腐敗生物(ゾンビ)に制圧され、地下で抑圧された生活を余儀なくされている人類。主人公のヒサコは、祖母より聞かされた学校の話に興味を抱き、地上に学校を作ることを夢見て腐敗生物から地上を取り戻す戦いに挑む。
 横視点でのアクションRPG。人類の拠点となっている地下鉄の駅に移動し、そこで腐敗生物との戦闘を行いながら、避難者の救援やボスの撃破など様々な条件を達成して物語を進めていく。地下鉄の路線は東京の路線図がほぼそのまま使われており、登場する駅名も全て実在するのがこの作品の世界観の大きな特徴である。
 操作は移動、ジャンプ、ダッシュ、回避、射撃、強攻撃。移動を除く全ての操作でスタミナを消費し、必要なスタミナが無いとその行動はできない。スタミナは時間で回復するが、しゃがんでいると高速で回復する。回避中は無敵で、敵の攻撃に合わせて回避すると時間の経過が遅くなる。このときは敵により多くの攻撃を当てることができる。照準を動かす頻度が極めて高いので、コントローラよりもキーボードとマウスでの操作の方が快適にプレイできた。
 敵を倒すと武器や武器の能力を強化するアタッチメントを落とすことがある。これらを収集・強化して攻撃力を上げ、より強力な敵に立ち向かうというのが戦闘の流れである。武器は近接に特化したソード、標準的な攻撃手段であるマシンガン、高威力のランチャーの3種類に大別され、それぞれにおいて様々な種類の武器が登場する。

 まず、この作品の規模を完全に読み誤っていた。ゲームの雰囲気からせいぜい20時間もあればクリアできそうだと思っていたが、実際にはその倍の40時間でのクリアとなった。製作者3人でこの規模の作品をしっかりと最後まで作り上げたことに、驚きの念を禁じ得なかった。

 ゲームはマップ中で発生する腐敗生物との強制戦闘が中心となるが、これがかなりの手応えであった。
 まず、戦闘では大量の腐敗生物が混成で波状攻撃を仕掛けてきて圧倒的な物量に対処しなければならないので、敵の種類と出現位置に応じて有利な位置取りをするのが非常に重要となる。さらに、各武器は弾数(ソードは耐久力)が決まっており、次のセーブポイントに到達するまで回復しないので、その資源の配分も同じくらい重要となる。この調整が非常に絶妙で、終盤においても次のセーブポイントに駆け込むときは大抵満身創痍であるような緊張感の高い戦闘が楽しめた。さらに、セーブポイントに到達すればそこまでに発生する強制戦闘が無くなるので到達したときの安堵感と達成感は極めて高いものがあった。この緊張感と安堵感・達成感の繰り返しがゲームの進行に良い刺激となって作用しており、難易度調整が本当に絶妙であった。ただし、プレイしたのが難易度ハードだったので(初期設定がハードだったはず)、難易度を下げれば間口は広がるものと思われる。
 そして、戦闘に使用する武器は、多種多様な武器を敵などから集めてその中から有利なものを強化していくという収集・育成要素がある。各武器には攻撃速度や連射速度、クリティカル発生率など強みがいくつかあり、それをアタッチメントやランダムで付与されている能力で伸ばしていくのも楽しみの1つ。基本的に戦闘の難易度が高いので、自分好みの武器に強化できて戦闘を有利に運べるようになったときの手応えは大きく、武器を強化する大きな原動力になった。また、ランダムで付与される能力の中には時折極めて高いものや唯一無二のものが現れるので、それによる更なる強化を追い求めていくと本当にきりが無かった。
 あと、主人公はレベルによる能力の底上げがあるが、製作者がその場面で想定したレベル以上には上げにくい調整になっているので、力押しがほとんど通用しなかったところも好印象。手持ちの戦力を揃えて、その上で位置取りや倒す順番など戦闘の攻略を行う必要があり、戦闘の攻略と武器強化の両要素をしっかりと楽しめる構成になっていた。とはいえ、想定したレベルまで到達すればちゃんと有利にはなるので、この緩急の付け具合も流石と感じた次第であった。
 各駅の最後にはボスが待ち構えているのだが、これも単なる1対1で終わらせない趣向を凝らしたボス揃いであった。容姿も主人公と同じくらいから画面の半分以上を埋め尽くす巨大なものまで、戦闘も正面から対峙するものから仕掛けを活用して戦うものまで多種多様であり、もちろん攻撃手段もボスによりまるで異なる。初見時で倒せたボスはおらず試行錯誤は必至。しかし、何度もやられながら攻略の糸口を掴んでいく過程は道中の攻略以上に大きな手応えを得ることができ、ボスを倒したときの満足度も一際高いものがあった。個性的なボス揃いであるが、中でも個人的には秋葉原のボスが非常に気に入っている。超巨大なボスを見上げるような視点から始まってボスの攻撃をかいくぐって接近し、信号機や看板にぶら下がって飛び移りながらボスの頭上に飛び乗り弱点に攻撃を叩き込むという一連の流れに、視覚的に映える熱い戦闘を表現したいという製作者の強い想いを感じ取ることができた。あと、機械人形の腕が変形して様々な兵器になるというのも、きっとやりたかったことなのだろうと。ただ、一方で武術館のボスは手間が必要以上にかかって退屈だったボスがいたのも事実。こちらは仕掛けにとらわれ過ぎた感があった。

 世界観は、地上が腐敗生物に制圧されて地下で生活しなければならないという設定と実在の地名を融合させることで、関東に住む私にはより親近感のある創作として受け止めることができた。また、地下の移動に地下鉄を活用していることや、地下で生活するために地下を掘り進むための職業が発生していること、無秩序に掘られた生活域がまるで地下迷宮のようになっていることといった設定も、この作品の独自性を高めている魅力的な要素。特に、生活域が地下迷宮のようになっているという点は、マップの形状に必然性を持たせており説得力も高かった。
 物語は力業で解決しているところもいくつか見受けられて不自然に感じられたところも正直あったが(特に工学的な面で)、絶望に満ちた世界でただ1人希望を叶えるために奮闘する主人公の姿に感化されて思想を超えた仲間が増えていくという王道的な展開はやはり良いものがあった。終盤は熱い展開が続き、ゲームをプレイする手が止まらず遂にはクリアまで到達してしまったほどであった。とにかく要所要所で熱い展開、熱い場面が挿入されており、製作者の強い創作意欲をそれらの表現に感じ取ることができた。いろいろ突っ込みどころも多いが、それをねじ伏せる勢いのある熱い物語であった。
 一方で、音楽はフリー素材が多く使われており、新鮮味には乏しかった。とはいえ、これは3人で製作していることを考慮すると止むを得ないことである。が、この完成度で独自に楽曲が備わっていないことは非常に惜しいと思わざるを得ない。

 全実績を達成して、ボスの再戦も全てクリア。武器以外の収集要素も多く、本筋以外でも楽しませてもらうことができた。収集要素である人間が地上で生活していた頃の遺物の解説を、今の生活と照らし合わせて読むのが愉快であった。
 難易度は決して低くなく、特に序盤で戦力を揃えるまではかなり苦労したが、そこを乗り越えれば攻略の手応えに満ちた内容と独自の世界観による物語を堪能することができた。難易度や世界観などに製作者のこだわりが如実に現れており、しかもそれが作品としてしっかりと完成されている、正に力作と呼べる作品であった。


氷室 万寿 |MAIL
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