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2014年03月15日(土) |
続・「トリプルキャノピーの魔女」のこと |
先週と今週はゲームがろくにプレイできず、さらに花粉症も本格的に発症して散々であった。日記の抜け具合も凄いことになっている。
昨日でNormalまでクリアしたので、「トリプルキャノピーの魔女」(Project ICKX)の感想を纏めてみようかと。
この作品はRSEで製作された3DフライトSTG。開発はスペースホウライ伝説。 東南アジアの架空の国家であるバンナン人民共和国において、少数民族のパナン族と政府との間に紛争が勃発。神出鬼没のゲリラ戦で応戦するパナン族であったが、Raidersを始めとした近代兵器を所有する政府軍に対しては苦戦を強いられていた。一方の政府軍も、地の利を生かすパナン族に対して決定的な打撃を与えることができず、戦闘は膠着状態に陥っていた。この状況を打開すべく、パナン族は政府軍のRaidersを強奪して反撃に出る作戦を開始した。
プレイヤーはパナン族の三姉妹のパイロットの1人であるフェイとなり、Raidersを駆って政府軍の侵攻に立ち向かう。パナン族が強奪したRaidersは攻撃機のR-17で、機動力は著しく低いものの高い防御力と武器搭載量の多さが特徴。この機体で上空から敵施設への爆撃を行い、地上での作戦を援護するという任務を遂行する。しかし、東南アジアの小国のしかもゲリラ軍が先進国の正規軍のように高性能の誘導兵器を使用する資金的余裕があるはずがなく、使用する武器は必然的に安価な無誘導兵器が主体となってしまう。とはいえ、対する政府軍はパナン族に比べて装備こそ充実しているものの訓練度や士気は低く、言うなれば烏合の衆。貧弱な兵装でも駆使すれば勝機は十分にある。このように、鈍重な攻撃機や無誘導兵器など、通常のフライトSTGではあまり日の光を浴びることの無い要素を主体に構成された内容となっている。 そして、この作品には傭兵の栗田陣次郎というもう1人の主人公が登場。フライトSTGとは別に、ビジュアルノベルのように人物の立ち絵と共に会話が行われるアドベンチャーパートが用意されており(もちろんRSEで組まれている!)、こちらでは彼を中心に物語が進む。「RaidersSphere2nd」の時にクーデター側にいた彼は今では公安から追われる身になっており、そこからの解放を条件に日本軍の諜報部員からとある任務を引き受ける羽目になる。そして、その任務を進めるにつれて、この紛争に込められた様々な思惑が明らかになっていく。
フライトSTGというと先進国の正規軍の中でも精鋭が最新鋭の機体と兵器をもって戦うというのが王道という印象を持っているのだが、この作品は舞台設定から機体から兵器まであらゆる点で対極的にある。それゆえ、様々な点で新鮮味を強く感じられた。 一番新鮮味が大きかったのは、やはり無誘導兵器、中でも無誘導爆弾主体の戦闘である。今まで何の疑問も無く使用していた対地ミサイルがどれだけ高性能であったかを思い知らされた。そして、それ以上に無誘導爆弾で地上物を倒すことがこんなに面白いものだったことに目から鱗が落ちまくりである。とにかく自分の操作技術が素直に爆撃の成否という形で反映されるので、敵施設を破壊したときの手応えが対地ミサイルとは段違い。車列など連続した標的に次々と爆撃が成功したときの達成感は本当に中毒性が高い。また、存在意義が不明だったヨーが微妙な位置合わせに必須ということをこの作品で十分に理解できたのも大きな収穫である。今まで使い勝手が分からずに無誘導兵器は敬遠していたが、使わざるを得ないという状況に追い込むのは上手い手法であると感じた次第。とはいえ、やはり慣れるまでは大変で、最初は爆弾の照準の挙動など分からないことは盛り沢山だった。それでも、自機の鈍重さや耐久力の高さに搭載量の多さ、空中物を弱体化して地上物に集中できる調整、物語への興味など様々な要素に助けられて、徐々に理解を深めていくことができた。続ける意欲を引き起こす構成の妙は流石である。 舞台設定やそれによる演出にも様々な新鮮味を感じられた。とりわけ、ゲリラならではの奇襲戦法や物資の強奪といった戦闘目的は、とても正規の軍隊では見ることのできないもので胸が空くような痛快さすら感じられるほど。あと、敵戦闘機の統率の取れていない動きや、あの変態挙動のR-50が攻撃機の機銃で撃墜できてしまったことに、政府軍の訓練不足という設定を上手に活かしていると感心させられた。戦闘の舞台が東南アジアということで、フライトSTGの場面では眼下に広がる一面の密林やそこを切り開いた基地や遺跡などが独特であり、アドベンチャーパートでは人々の生活など社会の様子を伺える描写が端々に簡潔ながらも丁寧に描かれているのが印象深いものがあった。 物語は「RaidersSphere2nd」の後日談だが、少数民族や他国の干渉など現実的な社会問題も組み込み、架空の条約や歴史にも説得力を感じられる。そして、その上で意外すぎる結末に、娯楽を忘れていないことに心の中で大きな喝采を上げた。登場人物の1人1人が個性的で明確に役割を果たし、全8面とフライトSTGにしては長い方ではないもののしっかりと纏められているのも好印象であった。それにしても、政府の最高指導者である議長の呼び名が危うすぎるのだが。
この作品をプレイして、無誘導兵器の魅力にすっかり目覚めてしまった。物語的にも見応えがあり、さすがProject ICKXがプロデュースするだけのことはあると納得の良作であった。
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