人妻の裏心 『皮肉な幸せ 21』 最後のチャンス - 2005年07月14日(木) 赤ちゃんが出来た事を知って、夫はなにかと気遣ってくれるようになった。 高いところにある鍋をとろうとして、ジャンプしていたりすると 慌てて飛んできてはとってくれる。 そして必ず一言、怒られる。 「だめだよ!もっと体を大事にして!」 本当に夫が、産まれてくる赤ちゃんを待ち望んでいることが アタシには痛いほど感じる。 だが、そうかといって夫は週2日の外出をやめることはなかった。 アタシはもう一度だけ尋ねることにした。 「ねえ、どこへでかけるの?」 「ん?ほら、飲みに誘われてっていってるじゃん。」 「どうして毎週同じ曜日なの?相手は誰?」 「色んな人から誘われちゃうから、たまたま同じ曜日に なっちゃってるのかな・・・。」 しどろもどろに答える夫。 あまりにも白々しいので、いい加減アタシも頭にきて怒鳴った。 「そんなに重なるわけないじゃん! そんなに嘘ばっかりついてるなら、アタシもうこの子 産まないから!」 「おいおい、、、ちょっと落ち着けよ。 やっと出来た俺達の子なんだぞ? 馬鹿なこといってるんじゃないよ。」 「じゃあ、本当の事言ってよ!」 少し涙目になりながら、夫を見た。 「わかった。じゃあ言うよ・・・。 確かに、毎週飲みにいってるのは嘘。 騙してて悪かった。 だけど、悪いことはなにもしてないから、信じて欲しい。 この期に及んでまだ嘘をつく気か!あなたって人は・・・。 そんな趣味なかったじゃない。 それにそんなことなら、わざわざ嘘つく必要もないわけだし。 アタシを気遣っての嘘なの? もう少しましな嘘は考えつかないの!? 「わかったわ。じゃあ、アタシも子供ができたわけだし 一人でいると心細いの。丁度、来週はアタシの誕生日。 アナタが出かける日だけど、行かないでくれる? ううん、もう今日で最後にしてきて!」 嘘だとわかりつつも、信じたフリをした。 そして、これが最後のチャンス。 これだけいって、まだ続けるようなら・・・別れるわ! 「大丈夫。来週からは行かないから。今日だけ我慢してね?」 そう言うと、夫はバタバタとまた出かけていってしまった。 本当に夫はアタシのもとにもどってきてくれるのだろうか・・・。 アタシの誕生日は1週間後。 -
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