人妻の裏心 『皮肉な幸せ 20』 悪魔の囁き - 2005年07月12日(火) 「おめでとうございます。2ヶ月目にはいるところですね。 また2ヶ月したら来て下さい。」 医者が淡々とした口調でアタシに告げた。 診察室を出ながら、アタシは思わず涙がこぼれそうになった。 残念ながらうれし涙ではなく、困惑の涙だったのだが。 10年以上出来なくて、もうあきらめていた赤ちゃん。 それが今アタシの中に芽生えている。 ああ、なんていうことなの! 本来なら手放しで喜べる事なのに、今のアタシにはそれが出来ない。 夫の子供であるはずの、アタシの中のこの子が よその男の子供なのかもしれないなんて・・・。 前回の生理が終わってからは、夫と交わったのは 彼と交わった翌日の1度だけ。 そして、彼と交わったのもその時の1度だけ。 どちらとも避妊せず・・・。 まさか子供が出来るなんて考えもしなかった。 アタシは子供が産めない体なんだとばっかり思ってたから。 なのに、こうして身ごもった。 と、いうことは? まさか、夫のほうに原因があったの? ううん、ちょっと待って。冷静に考えるのよ。 本当に夫の子かもしれないし、、、 でも、確立的には半分以下・・・。 10年以上できなかったのに、今更出来るとは考えにくい。 やっぱり彼の子なの? どうしよう・・・・・・・・。 子供が出来たことを、夫にいってしまったら産まざるをえない。 そして夫は、それはそれは、アタシの事を大事にしてくれるだろう。 しかし、産まれてくる子は夫が最も嫌うアタシと寝た男の子供 かもしれない。 アタシが言いさえしなければ、わかる事はないだろうけど 一生夫を騙していくことに、果たしてアタシは耐え切れるのか? でも、この子を亡くしたら、アタシは一生子供を授かることは ないのかもしれない・・・。 それに、少し離れてしまった夫がアタシのもとにまた帰って きてくれるかもしれない・・・。 これは神様がアタシに下した不倫に対する罰なのか? それとも、目を覚まさせる為のチャンスを下さったのか? その時、アタシの中の悪魔がそっと囁いた。 そう考えたら、アタシの胸のつかえはスゥーっと消えた。 -
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