私は、はりきゅう、マッサージ師という仕事をしている。また時々、 整体はやらないの?と聞かれるが、無論、整体も行なう。ただし、 いわゆるバキバキッというのは行なわない。 そういうのは、他所で一杯やっているからである。
で改めて何を書くのかといえば、この仕事についてよかったな、と 時々思うのは、目の前に現場があるということだろう。
そしてこの現場、仕事の経験が増せば増すほど面白いのである。 それは一人として同じ状態、同じ症状の患者さんはいない、という ことである。
たとえばある日、腰痛でうちに来た患者さんがいたとする。 とりあえず、その日は悪戦苦闘のすえ、何とかよくなってもらい、 またしばらくしてその人が来た場合、前回と症状の傾向が似ていても まったく同じであるという訳ではない。
だから前回とまったく同じ治療を加えるのではなく、その時その時で 治療に微妙なさじ加減を加える必要が出てくる。 そしてそれは他の患者さんでも同様で、基本的に来る人によって症状は 異なるし、また同じ人でも症状が毎回違うことも珍しくはない。
かと思うと、この腰痛のタイプの人はなかなかうまく治らないなー、と 思って悪戦苦闘しているときにかぎって、似た症状の人が次々とやって きて、いろいろと試しているうちにまとまてスッと治ったりする。
だから仕事に対して飽きがくるということがあまりないのだ。
だって次にくる患者さんがどんな症状なのか、まったく想像もつかない 現場なのだから。
でもね、私にとって患者の肉体が商売としての現場であるのと同時に 私自身の肉体も、私にとっての一つの現場なんだよなーと思うのであ る。
つまり、たとえばカゼで頭が痛くなったり、お腹が痛くなったり、また 歯が痛くなる、なんてのは、いわば現場からの抗議の声だともいえる わけで。
もしもその状態でさらに肉体という現場の声に耳を傾けずに、無理を してつっぱしった時には、場合によっては身体をこわして入院したり、 悪くすれば重篤な病気にかかって死んじゃう、なんてこともあるわけ だ。
だから健康的に生きる上では、肉体という現場の声に耳をかたむける ってのも大切なんじゃないのかな。
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