2003年06月15日(日) |
「マトリックス リローデッド」 |
という事で、今回のネタは「マトリックスリローデッド」 。 オールナイト上映での鑑賞。
先々行オールナイトや先行オールナイトで見たかったんだけど、 あまりの混雑振りに断念してたんで、今回ようやく見ることができた。
さて、いつもどおり一言で言うと、ストーリー、映像共に前作から 宣伝どおりに正常進化して、面白さ1.5倍(当社比?)になった 作品だと思う。
とりあえずね、劇場公開前日にオンエアされた前作「マトリックス」を 見ていてよかったー、って感じかも。 その分、今作品の進化ぶりがよくわかったような気がする。
特に、映像に関しては、ウオシャウスキー兄弟の画づくりにかける執念と 才能をまざまざと見せつけられた気がするのだ。
以前、「スターウォーズ エピソード1」の時にも書いたんだけど、 これだけCG技術やVFXが進歩すると、その監督の画づくりのセンス といったものが、あらわになってしまう気がする。
それは、前作「マトリックス」公開後、同様のギミック(ワイヤーアク ション、ストップモーション、360度回転など)を取り入れた映画 作品が、それこそ山のように公開されてきたけれど、どれも「マトリッ クス」のインパクトは超えることが出来なかったように。 超えたのは「少林サッカー」と「火山高」位かな?
そして今回の作品は、その差を更に広げてしまったような気がするのだ。
いや、もちろんスタントとワイヤーアクションや最新のCG技術を使え ば、また似たような映像は作れるのかもしれなけれど。
でも、多分ウオシャウスキー兄弟の画にかけるこだわりとか、業といった ものは、もっと深いところにありそうな気がする。 おそらくは他の人だったら、さじを投げてしまいそうな位、手間をかけて いそうな気がするのだ。
これは、奇しくもこの映画の前に予告編として流れていた「チャーリーズ エンジェル フルスロットル」のVFXと比べると分かりやすいかも しれない。
どちらも似たような技術を使っていると思うんだけど「〜リローデッド」 の方が、画がより緻密な気がするのだ。 これに比べると、予告編で流れていた、爆発で人が吹き飛ばされるシーン とか、どうしても「〜フルスロットル」は粗く見えてしまう気がする。
その一方で「〜リローデッド」の方は、高速道路のシーンをはじめとして 「一体どうやったら撮れるんだろう?」と思うくらいに、実際のアクトと CGの合成のつなぎ目が見えないように思うのだ。
そしてそれはおそらく、監督のキャストに対する要求水準の高さという 形でもあらわれていると思う。
主演のキアヌリーブスをはじめとする主要キャストたちはインタビューに 答えてこう言う。
キアヌリーブス 「普通は1秒24フレームで撮影するものだけ れど、この映画では130フレームで撮影するようなシーンがある。その 戦いで僕がパンチや刀をよけるんだ。24フレームでは難なくこなせるけ れども、130フレームだと、刀がかなり離れている時点でよけている事 がわかってしまってね。すると(ウオシャウスキー)兄弟は『もっとギリ ギリに見えるようによけてくれ』っていうんだ。もっと速く、もっとギリ ギリで……」(略)
ローレンスフィッシュバーン 「そうなんだよ。あの二人は… なんていうかな、キューブリック的(完璧主義の例え)なんだ」 (月刊テレビタロウ関東版 7月号より)
でね、映画を見ている私たちは、ついマトリックスという仮想空間での 出来事なんだからさー、こういう事だってあるかもねー、とそのまま 受け入れてしまいがちなんだけれども、実際の映像として形にするため には、おそらくは想像を絶するような、手間がかかっているんじゃない かな、と思うのだ。
キャストたちも通常では考えられないようなアクションをしなきゃいけ ないわけだし。 そして実際、その要求に応えるだけのアクトをしてきたからこそ、これ だけのインパクトのある映像になっているんだと思う。
すなわち、全部がCGなのではなく、そこにちゃんと現実の役者さんの 肉体が「ある」感じ。 その説得力は、この先CG技術がどれだけ発達したとしても、やはり その映像作家の才能によるところが大きいのかもしれない。
でも、そんな映像は日本のアニメで見慣れているよ、という意見もある かもしれないけれど、極端な話、アニメだったら絵が描ければできるかも しれないわけだし。 いや、もちろん、アニメにはアニメなりの膨大な時間と労力がかかる事も 知っているけれど。 それを現実の役者で実現しようとしているのは、やはりスゴイとしかいい ようがない気がする。
そしてもう一方の側面、ストーリーに関しては、いろんな意見があると 思うけれど、前作の内容をうまく引き継ぎ、前作の疑問に対して答えた 上で(ザイオンとはどんな場所であるのか、予言者とは何であったの か)、更なる謎の提示をすることで物語の幅を広げ、次回作「〜レボリュ ーション」へのうまい橋渡しをしていると思う。
とりあえず、今作品は前作にも増して意味ありげな台詞、人物が出てく るので、謎スキーな人には結構たまらない作品になっているんじゃない のかな?
秋の次回作公開にあわせて、「マトリックスの謎」探求本や、ウェブサ イトが結構出てきそうな感じかも。
その上で更につけくわえると、今回の作品では、ウオシャウスキー兄弟 の、日本に対するリスペクトというかオマージュが更に感じられる作品 になっていると思う。 「キーメーカー」とか「日本刀」とかね。 秋葉原とか、大好きなんだろうなー。
多分、第3作公開前にはもう一回位見るんだろうなー。 あと、やっぱり長いエンドタイトルが終わるまでは席は立たない方が いいかもしれない。
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