パラダイムチェンジ

2003年02月14日(金) バレンタイン・デイ

今日は、バレンタイン・デイ。
昔見た漫画で「バンアレン帯」の日ですか?なんて話があったけど、
基本的にはLover's Day。すなわち恋人たちの日。

本来的には、大量に義理チョコを配る日では決してない。

現在、アメリカから外国人の患者さんがやって来ていて、その人から
14日はやっぱり特別な準備とかするの?とかニコニコしながら
聞かれたので、いや〜日本では女の人が知っている人にチョコを渡す
日なんですよ、と言ったら結構驚いていた。

で、今日その人からはめでたく?チョコを頂いた。しかも手作り。

アメリカでは、かつての日本のクリスマスのように、この日恋人と
一緒に過ごせるかどうかが結構大きな問題だったりするみたいだ。
まあ、全てが敬虔なクリスチャンな訳はないけれど、やっぱりクリス
マスは家族やごく親しい友達たちと過ごす日らしい。

だからこの日に向かって?アメリカのデートサービスやら出会い系?
は、恋人を探そうという人で大盛況になるらしい。
向こうの場合は、ゲイの人もいるからなかなかいい出会いを見つける
のも大変らしい。

なんて事をもっともらしく書くわけは、今年は久しぶりに、全然
色気のないバレンタインデーだったからである。


昨年までは病院勤務だったおかげもあって、患者さんからもらう
義理チョコから、義理チョコか本命か定かではないチョコまで、
いろんなチョコを頂いていたのだ。
まあ、患者さんはおいておくとして、その分お返しはそれなりに
大変だったりするんだけど。

バレンタインデーということで、思い出ではないけれど思い出すこと
は、次のような事である。

かつて、まだ自分の自意識がとても巨大だった頃、実はバレンタイン
デーに沢山のチョコをもらう人がうらやましかったのを思い出した。
すなわち、せめて一回はモテモテ気分を味わいたい、などという
書くも恥ずかしい事を思っていたのを思い出すのだ。
いやー、マジで恥ずかしい。


モテるってことについて考えてみる。
人は、どんな風にモテたいと思うんだろうか。

題名もそのものズバリ、 「モテるための哲学」 という本がある。
著者はAV監督でもある二村ヒトシ。実はこの本を初めて読んだのは
5年前、まだこの本が新書版だった頃だった。

この本の中に人がモテたいと思う動機について、こんな文章がある。


 ところで、あなたやぼくが、女性に「モテたい」と思うのは(ある
いは「やりたい」と思うのは)どう考えても、ただたんに性欲だけの
せいじゃ、ないですよね。いや、それももちろんありますが。

きっと人間は、他人から「あなたは、そんなにキモチワルくないよ」
って、保証してほしいんです。「やらせてくれ」とか「ぼくとつきあ
ってくれ」って他人に言うのは、そういうことです。

あんまり浮世の義理がからまない、よく知らない女の子がやらせて
くれたら、それはあなたがキモチワルくなかったんだ、ってことに
なりますからね。

やりたい相手に「やらせて」とどうしても言えない人は、「言って、
誰もやらせてくれなかったら、どうしよう。オレはほんとにキモチワル
いことになっちゃう…」って恐れているんです。



かつての自分を思い出せば、結局は、誰か特定の人にモテたいという
よりは、自分自身がキモチワルくはないと誰かに証明してもらいたか
っただけかもなー、などと思ったりもする。

つまり、理想の自分の要求水準が高すぎて、それに現実の自分が
追いついていないもどかしさ、みたいな感じで、ただ漫然とモテたい
と思っていたんじゃないかなあ。

その病?はその後社会に出て、自分の自意識が徐々に削られる途中で
自然となくなっていったような気もする。
そして、その過剰な自意識がなくなってくると同時に、自然と少しは
モテるようになっていった気もするのだ。

でも逆にこうも思う、おそらくは自意識に悩まされていたあの頃も
もしかすると少しはモテていたのかもしれない。
でも、自意識の強さがその事に目を向けさせなかったのかもしれない
なあ、なんて事も思ったりもする。


モテるという話に戻すと、現在の私は、いちどきに沢山の人に
モテたいとは、実はあまり思わない。
だって、いちどきにたくさんの人にモテたって、その瞬間、付き合える
のはたった一人なのだから。

例えば複数の人と付き合って、一人一人の女の子との思い出を薄く
してしまうよりは、一人の女の子と、濃い時間を過ごしたいと今は
痛切に思ったりもする。

たとえ沢山の人から「あなたはキモチワルくないよ」と言われたと
しても、たった一人、自分の好きな相手に「キモチワルイ」と思われる
よりは大げさな話、世界中を敵に回したとしてもたった一人、自分が
心底、惚れた相手に「キモチワルくないよ」といわれる人生の方が
いいと思うのだ。


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