疲れているからなのか、おかしな夢を見た。
なぜか私は学生で、大学の入学試験か、期末試験を受けるために 階段教室にいる。 そこではなぜか膨大な量の記述試験が待ち受けていて、いくら書いても なかなか終わらない。 えー、このままじゃ俺は腱鞘炎だよー、と思ったところで目が覚めた。
目が覚めてみると、なぜか腕がしびれたように重い。 どうやら寝返りを打つうちに、失敗した腕枕のように、頭で腕の神経を 圧迫していたらしい。
逆に言えば脳は寝ている間に、なぜか知らないけれど腕が重くなって いることに対して、それを頭の中で合理的な理由付けをするべく、 腱鞘炎になってもおかしくないような、かつての記憶を引っ張り出して きたのかもしれない。
別のベタな例で言うと、昔の漫画なんかによくあったけど、 火事で水浸しの夢を見ると、実はおねしょをしていた、みたいな。 これなんかはもしかすると、なぜだか知らないけれど、身体が濡れて いるよ、という身体からの信号に対して、身体を濡れていることの 合理的な言い訳を脳が考え出した結果なのかもしれない。
などと、夢について考えることの根拠は、糸井重里と池谷裕二が 対談した本、 「海馬−脳は疲れない−」 である。
池谷 糸井さんは、偶然から生まれる修正を、すごく大切にされて ますね。実は、脳のはたらきもほとんどの部分が無意識の動き です。無意識なうちに、いろいろなものごとをかなり適当に ランダムにくっつけています
糸井 試しにやってみる、みたいに?
池谷 はい。すごくやっているんです。その典型が「夢」です。 実は、夢は「記憶の再生」なんです。その証拠に、フランス語を 喋れないぼくが、フランス語をペラペラとしゃべる夢を見ること は絶対にない。記憶がないから。 夢には、「記憶にあるもの」しか出ない。 ただ、いろいろな組み合わせをしているのです。トライとエラーの くりかえしですけど、無意識では常にそんなことをやっています。 (略)
糸井 夢のあいだに起きていた時の記憶を引き出して、海馬はいったい 何をしているんですか?
池谷 情報を整理しています。睡眠は、きちんと整理整頓できた情報を 記憶しようという、取捨選択の重要なプロセスなのです。だから 「夢を見ない」というか「眠らない」ということは、海馬に 情報を整理する猶予を与えないことになります。つまり、その日 に起きた出来事を整理して記憶できなくなってしまう。
ですから、睡眠時間は最低でも六時間は要るといわれています。 もちろん、個人差はあるのですが、6時間以下の睡眠だと脳の 成績がすごく落ちるということは、ここ二年ぐらいのあいだに 科学的な証明がなされました。(以下略)
自分自身の経験で言うと、TVをつけっ放しにしちゃったまま、寝ている と、TVのタレントがなぜか自分の夢に出てきたりすることがあったり する。
おそらくその時は脳が覚醒している睡眠状態で、目は開いていないけれど 耳が知覚した情報について、どう脳が折り合いをつけようかと言い訳を 考えた結果なのだと思う。
昔、自分の夢の中で、それまでそんなに好きなわけではなかった、 知り合いの女の子が、私の部屋の中で私を見つめているという 夢を見たことがあった。
おお、これがもしかすると正夢ってやつか?と思って、最初は結構 ドキドキして、好きになりかけたんだけど、残念ながら? 実際にそんな展開はなかったのである。
夢のすごい?所は、ただ単に合理的な映像を見せて納得させるために 五感とか、心理状態までそのシチュエーションを忠実に再現すること だろう。
おかげで今日の場合は、昔のテストにせっぱ詰まっていた、あのいやー な気分まで思い出してしまった訳だ。 あー、しんど。
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