掛川奮闘記

2008年12月18日(木) 081218_リスクの分散

 夜に中部地方の某市の市長さんとの懇談会に参加しました。

 これからのまちづくりのキーワードとして「健康と安心」ということを掲げているのだけれど、具体的にどのような展開があるか、という話題で、全部で4人での懇談会。なかなか興味深い話題となりました。

 市長さんの悩みの一つは「日本中が経済問題や雇用問題で右往左往している時に、健康などというテーマは脳天気と思われるのじゃないかなあ」ということ。

 それに対して回りからは「健康と言っても、それは人間の身体の健康だけではないでしょう。今は経済の健康が損なわれている状態ですし、環境の健康だって問題です。健全な状態からはずれていることを健全に戻すことを健康と考えることで、様々な行政分野で健康を目指す施策は行うことが出来るでしょう」という意見が出ました。

 まさにそのとおり。健康は厚生労働省だけの行政用語ではありません。地方行政にあっては、多くの分野を真面目にコツコツやることで市民の幸せを求めることが大切なのです。

 ところで、この市長さんの町は企業の工場が多く進出していて地元経済はそこそこ良いのですが、昨今の経済状況が少し心配です。

「市長さん、世界経済危機で日本経済も苦境に陥っていますがそちらの企業状況はいかがですか?」
「ご心配をありがとうございます。おっしゃるとおり決して良くなるわけはなくて、法人市民税も30%くらいは下がるだろうと覚悟しています。しかし当市の企業のバラエティを改めてみてみると、全てが自動車や電化製品などの外需に依存した企業というわけではなくて、薬品や身の回り品などの内需製品を作っている工場も多いのに気がつきました。自動車の企業城下町だったらさぞ大変だったろうなあと汗が出ますよ」

「なるほど、財産を投資する時に株や債権など、分散して投資するポートフォリオのようなものですね」
「そうそう、そうなんですよ。地域経済の屋台骨を背負ってくれる企業があるというのは心強く思いますが、いざこういう時代になると、かえって多様な企業さんがいてくださるのが良いのだなあ、と思いましたよ」

 財産を投資する時も、国内株や海外株、外貨など単品に全財産を預けるのは危険で、リターンが少なくなるのは覚悟の上で安全な資産運用ということを考えると分散してリスクを少なくするのが常道です。

 もっとも、来ようとする企業を選んで、「もうその分野の企業さんはいるので来なくて結構です」と言ったわけでもないでしょうから、あくまでも結果論と言うことでしょうけれど。

 企業に来て欲しいと思う自治体は沢山あるので贅沢な感じもしますが、ちょっと考えさせられることでした。


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こままさ