| 2008年09月17日(水) |
080917_教師文化をいま一度 |
いつも社団法人青少年交友協会会報から送ってくれるのが、会報の「野外文化」です。
青少年のあり方に問題を提起し、関心と共感を持ってくれる人たちと共に青少年の健全な育成活動を行っています。
今月号が送られてきたのですが、その中に東京学芸大学教授の河野義章さんの「教師文化を今一度」という文章がありましたのでご紹介します。
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「教師文化を今一度」 河野義章 東京学芸大学教授
日本の教師の特徴は何か。佐藤ナンシー氏は学校に日参しての観察から、二つの点を明らかにした。第一に定期的に勤務時間外に開かれるインフォーマルな教育の研修グループへの参加が多いこと、第二に、書道・絵画・ピアノ・合唱・読書会など専門的な成長を間接的に促す能力を育てる活動への参加が多いことである。
小・中学校のとき、教師宅に遊びに行くとたくさんのレコードや文学全集があった。そこで私たちは教師のもつ文化の匂いに触れた。当時どれだけ貴重なものであったか量りしれなかったが、八ミリフィルムで撮ったヨーロッパ旅行の記録を見せてくれた先生もいた。東京の下町の子どもたちにとって、その匂いが学校で学ぶことへの魅力を高めてくれた。
歌舞伎座へ初めて連れて行ってくれたのも先生だった。生のオーケストラを聴きに行き、その会場の雰囲気に圧倒されたときも、先生と一緒だった。雨のなかでテントをはって、たき火の起こし方を教えてくれたのも先生だった。これらは、みんな<教育課程外>のことであった。
大学院生になり研究会に出かけたら、恩師の顔があった。「これからは仲間だ」「競争相手だぞ」と喜んでくれた。
そして今、私たちの国では資質の向上を目的に教員免許の更新制度がスタートする。汗をたらして試験問題に取り組む先生たちの顔が浮かぶ。
いつからか、私たちの国は教師を信頼しなくなった。子どもの前の教師の顔は疲弊しきっている。夏休みに、大学の図書館に通うことが許可されたら。夜間大学に通うために、退勤時間をせめて三〇分早くできたら。
教師文化が今一度花開くときは、学校に子どもたちの笑顔があふれるときである。 (「野外文化〜教育を問う(74)」平成20年8月29日 第197号)
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幼いときに担任の女性の先生の家に遊びに行ったことがあります。今でもはっきり覚えているのは、先生が「いらっしゃい」と不二家のルックチョコレートを出してくれたこと。 もっとも印象的に覚えているわけが、ルックチョコの印象なのか、先生の家に言ったことなのかはよく分からないのですが(笑)。
子どもの時に一番身近な大人の一人は担任の先生。その大人がどういう生き方を背中で見せてくれるのかは、子どもに大きな影響を与えることでしょう。
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東京工業大学の芳賀綏(はが やすし)名誉教授は、現代日本を“高学歴無教養社会”と言いました。 こちら
教師に限らず、一見して姿形のない「教養」という大きな海に泳ぎだす真の大人の背中を子供達は見つめています。
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