日中韓観光担当大臣会議の準備で会合を重ねています。こういうものはひたすら情報提供を広くしている事が重要です。 この事業を通じて我が組織の存在はどのように映るのでしょうか。分かる人にはその頑張りが分かるようにしたいものです。
【台湾へ売り込め】 今日の午後は台湾へ北海道の産物を売り込むことに熱心な文化人類学の先生のお話を聞きました。
台湾への売り込みと文化人類学とは全くかけ離れているようですが、実はこの先生、台湾のアミ族(高砂族とも)の研究で台湾を数多く訪れるうちに台湾通と思われ、農業などの生産者から台湾への売り込みを頼まれるようになったのだそうです。
やがて先生のゼミに出入りしていた台湾人の学生さんの親が台湾でも有数のスーパー「Y屋」の社長という出会いがあって、そこから台湾への北海道産品の売り込みが始まったのだそうです。
台湾もかなり偽ブランドが横行していて、「北海道…」とつくものでもなかなか本当に北海道のものはないそうです。
北海道牛乳はニュージーランドの脱脂粉乳だったり、ぺらぺらの日高昆布があったりとまあ名前で売れる地域ブランドはあるのだそうです。
そこでなんとか本物を輸出しようとし始めたのですが、なかなかそのためのノウハウを持っている人がいなくて、多くを自分自身が開拓しなくてはならない羽目になったのだそうです。
メロンはツルをつけると検疫で引っかかりますが、ツルを取ってしまって丸くするとノーチェックでパスするとか、美味しい魚でも台湾には魚焼き器や焼き網がないので、鮭にしてもみな輪切りでソテーにして食べるしかなく、料理や食べ方の指導からしなくてはならないなど、苦労談は聞いていると面白いのです。
さてこの「Y屋」の社長さんというのがなかなかの方で、実際に本人が北海道を訪れてきて北海道の食材を自分の目で見て食べてみて買い付けを決めたのだそうです。日本人にとって美味しいものは、台湾の人にも美味しい事に変わりはありません。
本当は牛乳などは北海道旅行を経験している多くの台湾の人たちにはあこがれの飲み物なのですが、船便で運び入れるには鮮度が落ちてしまうために、先生本人が台湾入りするときに大量にパック牛乳を仕入れてハンドキャリーで持ち込んでいるのだそうです。
台湾では衣食住で言うと、衣には驚くほどお金をかけないのですが反対に食には健康と美容という観点に加えて、祭りごとには金に糸目をつけないという社会性があって、高い食材でも納得して買ってくれるのだそうです。
ただニセブランドも多いために、「北海道直送」という宣伝をどう信じてもらうか、というプレゼンテーションも必要なのだそうです。
このY屋では宣伝のために北海道から雪を運んできたり、大通公園からトウキビを焼いているおばちゃんを二人台湾へ連れて行き目の前で焼くデモンストレーションをしてもらったりすることで、信用を得ようとしたのだそうです。
面白かったのはトウキビ焼きのおばちゃんに「できるだけ北海道方言で話をしてね」とお願いした事で、標準語で話していると「日本人のようだが北海道ではないのではないか」と疑われるし、まして台湾語を理解するような人が焼いていたのでは、「あ、地元の人を使ってだまそうとしている」と全く信じてもらえないのだそうです。
蜂蜜などは台湾では水飴混じりが常識で、北海道産100%蜂蜜ということの証明は日本で検査した証明書が大事なのだとか。台湾の証明書ではこれまた疑われるのだとか。 北海道産を信じてもらうために随分苦労も多いようです。
こうしてなんとか自分で運ぶ航空便での産品は信用を得てきたのですが、やはり課題はもう少し多くのものを鮮度を落とさずに短期間で現地へ運ぶルートがまだ充分ではない事だそうです。
苫小牧からの台湾行きの船では苫小牧で荷物が満載にならないために仙台や東京へ立ち寄っているうちに日数が経過してしまい、いわゆる「足の速い(鮮度の落ちやすい)」食品はなかなか安定的に供給が出来ないのです。 このような物流の改善もやはり北海道ブランドの構築に寄与するはずなのですが、道内の企業も商社も官公庁もどうも「売るのだ!」というハングリー精神に乏しくて、悔しい思いをする事も多いとか。 * * * *
一方観光の面では、やはり人気はあるそうなのですが最初は雪で売り出し、次に紅葉で人気を博したものの、最近は興味の対象が北陸に移りつつあるとか。
その原因は「食がマンネリ」という声が多いのだそうで、素材の美味しさだけを提供するだけでは人気の継続が難しいのはグルメの国だからでしょうか。
また提供する観光素材でも、北海道では何もない大自然をウリと考えがちですが台湾の人たちのマインドは、「大自然に人間が英知を傾けて手を入れる姿」に感動するということなのだそうです。 そのため今は黒部ダムが大人気なのだそうで、あの大自然の中にちっぽけな人間がよくぞこれだけの大事業を行ったものだ、という感動を呼び起こすのだそうです。
このようにまずは敵を知り、己を知ることが大切なのと、常に自分たちの長所も変化させて向上させて行くという不断の努力が必要だということのようです。
北海道が本当に観光立国ということになれるのかどうか、試される大地はいつまで試されるのでしょうか。
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