| 2005年11月21日(月) |
051121_姿形より行動を |
今日から明日は、東京からのお客さんを案内しての旭川〜富良野、一泊二日の旅です。ちょっと天気が心配です。
今日は ■やっと「旭山動物園」にゆけた ■富良野の風景 の1本です。
【やっと「旭山動物園」にゆけた】 冒頭でも書いたように、今日から明日に掛けては一泊二日の出張です。
今回随行のお客さんも観光のお仕事関係の方で、今回の出張のポイントは「観光」という切り口です。
旭川空港でお昼の飛行機を待ち合わせして、昼食の後は旭山動物園へ向かう。旭山動物園は私もなんと初めて。
ご存じ旭山動物園は、月間利用者数が東京にあり、なおかつ人気のパンダのいる上野動物園を越えた地方動物園としてつとに有名で、来園者が鰻登りである。
しかし近場にいるほどに、「いつ行っても混んでいるよ」と言われてなんとなく足が遠のいていたもので、今回は平日に訪問出来る格好の機会となった。
* * * *
動物園に到着した頃には天気はまだ快晴で、絶好の行楽日和だ。現地では小坂副園長さんと市役所の方が応対に出てくださって、案内をしていただいた。
旭山動物園は昭和42年に開園して、そのときで年間約46万人の入園者を迎え、昭和50年代後半に遊園地遊具を導入して利用者が伸び昭和58年には年間約60万人の利用者を迎えて中興のピークとなったのだが、そこから先は次第に利用者が減少していった。
平成6年にはエキノコックスが動物に発生して途中閉園となり、平成8年には年26万人にまで落ち込んで、最大の危機を迎える。
しかしそこから発憤して新しい発想による動物の見せ方を少しずつ実践して、次第に利用者が回復、平成15年に年82万人まで回復し、平成16年にはおらんうーたん館とあざらし館をオープンして大ブレークし、年145万人まで達した。
そこにある視点は「私たちは,動物の姿形ではなく,「動物たちの特徴的な行動を展示する」ことにしたのです(旭山動物園ホームページ『園長室』より)」というものだ。まさにそれまでにはない新機軸である。
この日はまずホッキョクグマ館を見学。建物の地下にはいると、半分が水中に潜っている。大きなシロクマ君が二頭水の向こうの陸にうろうろしているが、丁度2時のもぐもぐタイムで、これを目当てに100人以上のお客さんが楽しみに待っている。
もぐもぐタイムが始まると、シロクマ君の豪快な水の中へのダイビングが見られて、観客は喜びの声をあげる。シロクマ君が水の中を上手に泳ぐ姿は早々見られるものではないだろう。
* * * *
アザラシ館では部屋の真ん中に置かれた円筒の中をアザラシたちが面白そうに上下する。
「彼らは何のためにこの筒の中を上下に泳ぐのですか?」と副園長さんに訊いてみた。 「好奇心でしょうね。彼らはものすごく好奇心が強いので、ここに来ると人間を見られると思っておもしろがっているのです。時間外にこの部屋で一人で作業などしていると、彼らがずらっと並んでこちらを見ている事がありますよ」との事。 そういう彼らの好奇心を上手に活かす施設との組み合わせの妙もまた技の内だ。
* * * *
ペンギン館では陸上で微動だにしないペンギンの群がいるかと思うと、水中を泳ぎ回る何匹かがいる。
地上からではよく分からないのだが、彼らの水中の様子を見てみると、水の中では地上のよたよたした頼りない風とはうってかわって生き生きとして泳ぎ回っている。
彼らがその流線型のスタイルや飛行機の翼のような羽を上手に使って水中を自由自在に泳ぐ様は、まさに「ペンギンは鳥だ」という事がよく分かる。 彼らは水中を飛んでいるのである!
ペンギン館の壁にも「ペンギンは水の中を飛ぶ鳥だ」と書いてある。こういう姿は水の中から見なくては見られない事だ。動物たちの姿形ではなく、行動を見せたいという思いがシンボリックに見られるシーンであった。
しかしここまでこういうスタイルが人気になると、日本中の動物園や自治体からも視察が殺到するのも当然だ。心配になって、「全国で視察に来て、真似をされるという心配はありませんか?」と訊いてみた。
すると副園長さんは「いえ、私たちはどんどん真似をしてください、と言っています。日本中の動物園が面白くなるのはよい事です。それに施設だけを真似しても動物が同じように行動するとは限らないのですよ。私たちはここにいる動物を理解したうえで、彼らの姿を見せるための施設を作っているのですから」と自信たっぷりの様子である。
聞けばまだまだ構想があるのだそうで、まだ全体の構想の半分ほどしか完成していないのだとか。こういう施設は魅力を小出しにするのも長続きするための秘訣である。
人気がバブルではなく、長く続くようにお祈りをしています。
【富良野の風景】 旭川を後にして次は富良野市の訪問である。
富良野市では今年国土交通省が募集した観光地域づくり実践プランに応募してくれたのだが、審査員の皆さんからの受けは良く無事合格。委員の皆さんの反応も大いに支援すべし、というものだったそうだ。期待は大きいものがある。 そんな富良野の状況を知る絶好の機会でもあったので、今回の出張では宿泊を富良野市に決めたのである。
富良野市内には夕方4時に到着して、まずは富良野市役所を表敬訪問。最近の富良野の観光の状況などを伺う。
富良野観光の目玉はいまでもやはり「北の国から」なのだそうで、これをきっかけにして富良野市に住んでくださっている倉本聡さんの恩は計り知れないものがあるようだ。
冬の観光でいえば、冬タイヤがスタッドレスになった時に急激に落ち込んで、それ以来スキー客は減少傾向なのだという。 冬期の移動制約に加えて、若者人口の減少や冬期レジャー嗜好の変化など、様々な要因があるだろうけれど結果として富良野の冬期観光の入れ込みは減少してきたということである。
これを何とか打破しようということで今回の実践プランに応募したのだが、作業の過程で市内の関係各団体とも連携が強化されたし、特にシーニックバイウェイで意識の高まった民間団体やNPOの参加が目立つという。
この件では市長さんご自身もかなり真剣に取り組まれているようなので心強い。自治体の多くの施策は担当者は真剣なのだが肝腎の首長はどうもイマイチという例が多いのだが、富良野の観光に関しては高いレベルでお話しが出来そうだ。
夜に市長さんと懇親会を終えた後には、今年放映された倉本さんのドラマ「やさしい時間」の舞台として有名になった喫茶店「森の時計」へも連れて行っていただいた。
この日は平日でしかも夜遅くの訪問という事でなんと貸し切り状態。自分で豆を挽いてコーヒーをいれてもらうのだが、ゆったりした時間がよい。
ここのマスターも富良野塾の卒業生なのだそうだが、話を伺うと、ドラマ放映後の開店以来大人気で、朝10時開店に向けて8時半から並んでいるお客さんもいるそうだ。
またカウンターは9席しかないのでなかなか空かないのだが、次のお客さんはじっと列をなして空くのを待っているのだそうて、2時間くらいは待つ事もしばしばだとか。
まさにメディアミックスによる富良野の付加価値向上作戦だ。倉本さんの力は大きいし、本当に降って湧いたような地域の財産だ。
外の雪景色も風情を増してくれた。うーん、素晴らしいぞ、富良野。
今日はゆったりした時間を心ゆくまで味わいました。
|