| 2005年07月01日(金) |
050701_フィルムコミッションと組織を考える |
ここのところへ来て、気温が低めになる。天気は晴れているが、一時のように暑くはなくて涼しいくらい。
今日から7月。もう一年の半分が過ぎたんですね。もたもたしていると、あっという間にまた年末になりそうです。
さて今日は、 ■フィルムコミッションと民営化 の1本です。
【フィルムコミッションと民営化】 ある役場に勤める知人のAさんと夜飲む事になって、いろいろとお互いの近況などを語り合った。
このTさんとは本当に親しく飲むのは4年ぶりくらいなのだが、仕事以外でも地域活動に情熱を傾けている方で、役人という幅にとらわれずに活動する様子は、私など地にも及ばずある意味ではあこがれの存在である。
このAさんと久しぶりに飲めるというので、活動の裏話なども聞こうと思い随分楽しみにしていたのである。
Tさんは一時フィルムコミッションに力を入れていたのだそうだ。フィルムコミッションというのは、映画撮影の誘致をすることで自慢の風景を映画に使ってもらって観光振興や地域振興につなげて行こうというものである。
最近では「世界の中心で愛を叫ぶ(略して『セカチュー』と言われ2004年にヒットした邦画)」で、撮影舞台となった香川県庵治町では主人公が愛を語るシーンにもう一度触れたくて、【ここ→】多くのカップルが訪れてくるようになったという。
また、わざわざ外の例を引くまでもなく人気テレビシリーズ「北の国から」で富良野の名前と憧れは一気に高まったのであって、自分たちのふるさとがメディアに使われる事は地域間競争にあって極めて有効なのである。
そう言えば掛川にいたときも、テレビドラマの「ウォーターボーイズ2」では掛川の商店街にあった(アンデルセンという)パン屋さんが使われていたり、最後の別れのシーンではたった一両の汽車に主人公が乗って去るのを仲間が平行する農道から追いかけるというシーンが涙を誘ったが、これには掛川市内の天竜浜名湖鉄道が使われたのだった。
掛川の方はもう少し上手に観光振興につなげれば良かったのだが、合併やら何やらでそこまで対応が仕切れなくてちょっと残念であった。
* * * *
そんなわけでのフィルムコミッションなのである。大いに進めるべきだし、地域にとってやりがいのある活動ではないだろうか。Tさんは北海道でのその先駆者の一人なのである。
「Aさん、最近のフィルムコミッションはどうですか?」と訊いてみた。 するとAさんは「うーん、あまり良くないですね」と言う。
「どうしてですか?」 「フィルムコミッションって、すごく制作側とのつながりが大事で、しかも素早く提案をまとめて出せるようなこちら側のネットワークも大事なんですよ」
「北海道は最初の頃は対応が早かったと聞きましたけど」 「横浜だとか神戸などは外郭団体に対応組織を作ったのですが、道庁は道庁の中に対応組織を作ったんです。そのことは当時随分注目されたのですが、担当職員が人事異動で替わってしまうというシステムにはなじまないのではないでしょうか」
「やはり人と人とのつながりが大事だということですか?」 「それももちろんですけど、映画を作るということが分かっていなければ、向こう側のニーズに応えられませんよね。撮影ポイントを探す事をロケーションハンティングと言いますけれど、フィルムコミッションというと、ロケハンに対応する事だと思っていませんか?」
「そう思っていますが違うんですか?そのときに『こういう良い風景がありますよ』という情報を提供するのでしょう?」 「映画はまず企画があって、次にシナリオを書くのですが、そのときにシナリオハンティング、略してシナハンと言うのですが、シナリオに合う風景があるかどうかも重要なのです。だから映画化するときにはまず原作があれば原作のイメージする風景を頭に入れて、そのうえでそれを脚本化するときにイメージできる風景が先にあれば、シナリオも変わるんですよ」
「へえ、シナリオの段階から今ある風景を売り込む事ができるという事なんですか」 「そうです。だから出来るだけ前の段階で質の高い情報を提供できれば、それと地元の協力体制が組めれば、うまく行きやすいんです」
「やっぱり役人には難しいですか」 「例えば流氷のシーンを取りたいとするでしょう。そのときに流氷が接岸するようなところで、なおかつ地元が協力してくれそうなところはどこかな?と思うわけです。そのときに、流氷が接岸する自治体全部に声を掛けて、『協力体制が取れますか?条件は…』なんて説明をしているわけにはいかないんですよ。『それなら○○町の町長に頼んじゃえ!』といった、素早い対応が必要なのですよ」
「自治体とのネットワークならば役人の世界でのつながりもありそうな気がしますが、そこまで気の利いた人がその担当になってくれるかどうかというのは難しそうですね」 「だからそう言う意味では、そういうことをしっかりとやれる団体にやってもらうのが一番でしょうね」
なるほど、人材と社会のニーズをマッチングさせる術が役人の世界にはないというのだろうか。
担当する組織を作るだけではなくて、そこにどういう人がいるかというもう一歩踏み込んだ組織的対応がなくては、さまざまなる戦争には勝てないのかも知れない。
自らの中に競争原理がなくては組織自身は向上しようとはしないのだ、という悲しい見方がそこにはあるのだろう。
そして組織的向上を促すのが民営化だというふうに理解すると、いまの郵政民営化の問題もなんとなく理解出来そうである。
「郵便局を民営化して何になるのか」と地域へのサービスを原点に据えて民営化に反対されている議員の方も多いが、郵政民営化の後に見えているものがさらなる行政改革なのだとしたら、「いえいえ、民営化などしなくてもこれだけ内部の意識が高くなっていますよ」ということを説明しなくてはならないシーンが来そうな気がする。
日本人は外圧がなければ動きづらい民族と言われる。組織は自ら変革ができるのだろうか。
その前にやれるのは自分を変革する事なのかも知れないけれど。
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