先日兄弟姉妹と母とみんなで集まったときの話。 母のちょっと遅れ気味の傘寿のお祝いをしてその流れでなぜか昔話に花が咲いた。 ま、母にはいろんなことがあって・・ この2ヶ月の間に私には内緒にしていたのだけど、川に落ちそうになったことがあったらしい。 それも、ちょうど一年前に落ちたところに近い場所でひっくり返ってしまったらしい。 そこから始まった河童の話。 私も小さい頃に川に2度落ちたことがある。 我が家は家を取り囲むように川があった。川と言っても農業用の用水路のようなものだけど、昔は泳げるほどに深かった。 そこに一度、もう一度は家の裏にあった完全な農業用ため池に。 そのため池はもっと深くて、もう少し発見が遅れれば死んでいただろう。 田舎のことで、その川の周囲には数軒の家があった。 幸い、私の家では誰もおちて亡くなった人はいない。 しかし、すぐ近くの2軒の家では人が一人ずつ亡くなっている。 今では、川もちゃんと堤防が作られていて落ちる人もほとんどいないのだけど、 農業用の用水路とはいえ、その川は大きな川の支流なので雨がひどく降ったりすると水の流れも結構速かった。 そこで、近所の人たちの話に寄れば、 亡くなった二人は”かわっそ”(地方の方言で河童のこと、かわうそと河童は同じものだったらしい) に、引っ張られたそうなのだ。 その証拠はなくなった二人のお尻にあったそうなのだ。 母は、完璧に信じていた。 私だってその話は小さな頃に何度も聞かされ、川では十分注意するように言われていたのだけど、 ほかのみんなと一緒にどうしてもフナやエビ(アメリカザリガニのこと)を捕まえたかった。 ミミズを針に挿すことだってうまくできないのにその上、運動オンチのわたしは、何とかして一人でやろうとへっぴり腰で竿を川に投げ入れて、その瞬間に自分まで川に入ってしまったのだ。 そんなことを大笑いで話していたのだが、そのときに母が言った。 ”去年はなすびを上げるのを忘れたから” え、なすびって? なんと、これまで何十年も”一番成りのなすび”を川にささげていたそうなのだ。 つまり、”かわっそに引っ張られないためには一番成りのなすび”を川にささげると言うのだ。 なんですって・・・ 河童はきゅうりが好きだったんじゃないの? そこにいた子供たち(私たち)は異口同音に叫んだ。 ”違う、かわっそはきゅうりじゃなくてなすびなんだよ” 母は断言する。そうなんだ、かわっそはその年に一番はじめにできたなすびを貰わないと悪いことをするそうなのだ。 ”そんなばかな! それに河童なんて想像上の生き物でほんとにいるわけないじゃない!” と、私が叫ぶと、 私の10歳下の妹が ”いるよ!ばあちゃんが(母のことを私たちはみんなばあちゃんと呼んでいる)いつも言ってるし、見た人もいるってよ!” こんどは、私が絶句する番だった。ほとんど、笑いすぎて酸素が足りない状態の私。 ”え、そんな、あんた、もう一度聞くけど、あんたも信じてるの?” ”姉ちゃん、そんな馬鹿にして・・・いるんだよほんとに!” 妹の真剣さに圧倒されてしまった。 そりゃ確かに、佐賀市内でも伊万里市でもそのほかにもいろんなところで河童がいたらしいとは聞くけれどほんとに信じてる人をこんなに身近に見るなんて、今の今まで知らなかった・・・・・ 50年も姉妹をやってきたのに知らなかった・・・(爆笑) みんなで、1年分くらい笑ってしまった。 大勢が集まってくだらないことでこんなに笑える。 幸せなことだと思う。
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