店主雑感
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2002年05月17日(金) 見当違いな理解と寛容の安売り

 子供の頃、「たった一度の過ちが、生涯つ
いてまわる」と教わった覚えがある。

 教会の神父に乱暴して銀の燭台を盗み、警
察に捕まった男が、神父の嘘の証言で救われ
るというお話は、「たった一度の…」という
前提が社会の側にあってこそはじめて成立す
る物語である。

 現代の小学校は神父さんの人間愛ばかりを
強調して、前科者に白い目を向けるのはいけ
ないことであるかのような誤解を子供達に植
え付けている。

 人を殺した人間に更正してもらう必要は社
会の側にはない。

 更正の必要は人を殺したあとも生きて社会
に留まろうと願う本人の側にだけある。

 過去に人を殺した人間を危険視し、警戒す
るのは当然なことである。

 過去に人の物を盗んだ人間に大事な仕事は
任せられない。

 どんなにかっとしても、また、どんなに切
羽詰まっても、皆が皆、殺人や盗みに走るわ
けではない。

 子供に向って、こういう当然すぎることを
教えないでいて、「過去の行いで、その人の
現在を見てはいけない」などと言うのは、そ
れを口にしている大人の自己満足でしかない。

 どうしてもヒューマニストぶりたいと言う
なら、「たしかに、ごくまれには過去の行い
で、その人の現在をはかれない場合もある」
「だからといって、過去の過ちをきれいさっ
ぱり拭い去ることはできない」「そして、そ
れは誰よりもその本人が一番よく知っていな
ければならない」「その上でこそ、現在の信
頼が成り立つ」と教えるべきだ。

 前科を背負うことがどれほど不利なものか、
子供達が実感できる社会こそが健全なのであ
る。



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