□■ あたしのお教室 ■□
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はい、こんにちは。
昨日は村の夏祭り。 朝から規則正しく雨音が聞こえてきていた。 号外が回る。 「予定通り本日行います。ただし場所を変更します。 公民館で4時から6時までの2時間となります。」
4時になった。 村内アナウンスが公民館のスピーカーから流れる。 「不思議の里のみなさま、今からお祭りが始まります。 どうぞ、振るってご参加ください。 焼き鳥、焼きそば、そしてビンゴゲームでは豪華景品があたります〜。」
村の若い衆が懸命に盛り上げようと早くから企画しているお祭り。 家族で参加して盛り上げねばと思い、むすこっち達を連れて公民館へ。 まぁ、知らない顔がいっぱい。 村を離れている都会暮らしの人々が家族を連れて参加している。
いつも優しい健一さんが「小春さん、どうぞ、どうぞ、座敷にあがって ビールでも飲んでください。」と。 あたしは、いつまでたってもお客様のように扱ってもらえる。 中途帰村者が肩身の狭い思いをしないで良いように歓迎してくれているのだ。
お祭りの実行委員会に参加しないおっとっとに対して、みな、良い思いをもっていないのに、 そんなことを感じさせないように笑顔で迎えてくれるのがありがたい。
ビンゴゲームが始まる。 なかなかあたりの人が出てこない。 あたしはとなりに座っている奥さんがだっこしている初孫さんのほっぺを 触らせてもらいながら、ゲームに興じる。
早い段階でビンゴ!!
景品をいただきに前に出る。 なんと、お掃除道具ばっかり!笑 さすがに働き者の村だけある。
その中にピンクの可愛い折りたたみ傘があった。 それをいただくと、みなさんが「それは、むすこさんの彼女か嫁さんにあげないえ。」と。 「いえいえ、桜子の散歩の時に使わせてもらいます。 ピンクやで、よう目立ちますね。」とあたし。 周りから笑いが起こる。
いつもなら最後に花火大会があるのだが、雨天のため中止。
ささやかだが、気持ちのこもったお祭りで、みんな、笑顔で三々五々帰っていった。
帰宅してから、母屋の仏壇前に行き、みんなで御詠歌を歌う。 嫁にきてから、御詠歌というのを始めて知って、20年たった今、 かなり上手に歌えるようになったが、まだ暗記はできない。
お線香の香り、古ぼけた扇風機、ひぐらしの声。
不思議の里の盆は、いつもと同じように過ぎていく。 変わっていることと言えば、仏壇の前に座るじじばばの背中が小さくなってきてること。 そして、御詠歌を歌うむすこっち達の声が、年とともにだんだん低く大人びてきていること。
天涯孤独だったじーちゃんは、「みな、御詠歌に揃ってくれて、ありがたいことや。」と。 若くして身内を亡くし、一人で支えてきた家は、さぞかし重かったことだろう。
そのうち、ちゃんと御詠歌も覚えるし、仏壇のお供えの流儀も習うから、 じーちゃん、ばーちゃん、少しだけ安心しといて。と心の中で言っておいた。
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