クラフト・エヴィング商會の本にハマってます。 もともとは母がお気に入りだった様子なのですが、 「本が高い」と言って、手は出していなかったようです。 そこへわたしがポンとやって来て、「あ、面白いね」と 早々に2冊買ったものだから母も溜息です。 母のほうが情報を早く持つのに、ハマるのはわたしのほうで 尚且つ猪突猛進にハマるので曲者です、わたし。
クラフト・エヴィング商會の本は夏頃「クラウド・コレクター」という本を ヴィレッジ・ヴァンガードで見つけて、 「今度来たときにあったら買おう」と思ったのが始まり。 著者も内容もよく知らず、でも装丁がすごく気に入っていました。 しかし次に来たときにはもうその姿はなく、 本の題名すら覚えていなかったので探しようもなかったのです。 ところが年明け、図書館でクラフト・エヴィング商會の吉田篤弘氏の本を 見つけたので、そこから芋蔓式にいろいろとわかって クラフト・エヴィング商會の本を買うに至ったわけです。
「すぐそこの遠い場所」という著書を最近読んだのですが、 なかなか面白いものでした。 物語でもなく、ましてや恋愛ものでもないですが 寧ろわたしにはこういったものが性に合っているのかもしれません。 「アゾット」という遠く離れた不思議な世界のことが綴られているのですが、 「事典」であるのでその事象ごとに短くまとめられているんです。 作中ではとりあえずクラフト・エヴィング商會が訳者であって 著者は「アゾット」の世界に住む研究者だという設定になっています。 最後にオチはありますが。
BAR[死神としての床屋]、がわたしは好きです。
「この世で唯一、床屋だけが、人々の『つむじを暴くもの』であった」
だからといって、床屋がなぜ死神と同義語なのかという気もしますが。
「確かにわれわれは、常日ごろから帽子で登頂を隠しつづけている。が、床屋に頭をゆだねるときは、そこに刃物の気配までもが充ちているというのに、実に無防備に頭を晒し、まず見たことなどない、我が『つむじ』を、何の感慨もなく露呈しているのである。」
さらにこう続きます。
「人の記憶は、この『つむじ』より、回転しながら蒸発してゆくものであるという。となれば、床屋は、確かに人を脱帽せしめた挙句、記憶の蒸発を促進するかのごとく、平然と『つむじ暴き』を実践する連中なのである。」
なかなか面白い見解です。 しかも続きがあって、床屋はそのまま「うずまき研究者」になる人が多いんだとか。
あとは「睡魔」の話もけっこう好きです。
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